『必ず帰ってくる』


そう約束した。
たとえ、腕や足がなくなっても必ず帰ると
最愛の人と、約束をした。
だから私はどんなに厳しい戦況でも生きることを諦めることなんて出来なかった。
任務を放棄してでも生きたいとさえ思った。


どれだけ脅されようとも、情報を吐くまで殴られようとも、死を選ぶことはしたくなかった。
あれは、私がいないと泣く。
あれは、私が一等大事だと言っていたから死んだと分かったら後を追いかねない。
そんなことは、絶対にさせたくない。
だから、私は生きねばならない。


『あなたを失いたくない』


毒のように甘い言葉に支配されながら、私はまた身体を引き摺りながら歩き出すのだ。
愛しい女が待っている。私を。
他でもない、私を……。


ああ、大丈夫。
目蓋の裏には、まだお前がいる。
ああ、大丈夫。
見えなくても、まだお前の姿は思い浮かぶから。


お前は、何も心配しなくて、いい。

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