「……とや、く…」


胸元へとやってきた男の指先をやんわりと小さな手が握る。示したのは、制止。


「大丈夫だよ。トキヤ、今日は戻らないって言ってたから」


それを気にせず、ひとつ。またひとつとボタンを外す。途中のところではだけた布を割り開いて胸だけを露出させる。白いブラウスから覗いたのは柔肌を隠す、桃色の下着。音也の咽がごくりと上下する。
膝の上に跨がらせた春歌を見やれば思わず笑みが溢れた。するりと紅潮した頬を撫でてやる。従順に反応して震える身体。音也の手を弱く制していた手が、眼下の肩へと添えられた。


「…かわい」


小さく漏れた本音と同時に、下着を押し上げれば成長途中の乳房が溢れた。目の前に差し出されたそれに引き寄せられる。色付いたそれに唇を寄せて優しく啄み、リップ音を残した。


「んっ…」

「すっごく、甘い」


まるで花の蜜に吸い寄せられるかのように。


「は、…ぁ」

「ね、何で春歌は、」


――そんなに、甘いの?

左手でやんわりと胸を揉みしだきながら、唇は、上へ。白い肌を滑らすようにして到達した首筋を食む。場所を変えて、何度も。軌跡のように赤い跡を刻んだ。

蜜だなんて、甘いだけのものではないかもしれない。
謂わば、媚薬。
謂わば、…毒。

胸も、首筋も、溢れる吐息すら甘くて。遅効性の毒のように、じわり、じわりと侵食してゆく。
気付いた時には、箍は音を立てて、外れる。その後は、本能のままに。



LiCk
(君がくれる、快楽)






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