ごくり。
生々しくもレンの喉が鳴る。

寝台に横たわる春歌の両手首をシーツに縫い付けた。はじめてみた彼女の、裸体。
涙を浮かべた日だまり色の瞳。紅潮する頬。

何人もの女性と、何度も身体を重ねてきた。だが、こんなに興奮を覚えたことはなかった。
レンの背筋がぶるりと震える。


「…そんなに、見ないで…ください… 」

「どうしてだい?…こんなに、綺麗なのに」


真っ赤に染まる彼女が愛しくて。
細い指にゆっくり、レン自らの指を絡めた。
そしてキスを落とす。


「んん……ぁっ!」


酸素を求めて薄く開いた春歌の口。待ってましたと言わんばかりに滑り込ませた熱い舌。

どんどん体温が上昇していくのが判った。

やがてゆっくり離れた唇に寂しさを覚える。それを埋めるように、交わる視線。


「ねえ、レディ…本当に、いいの?」


――本当に、俺で。


何処までも真っ白く、無垢な彼女に踏み込むのを、レンは多少なり躊躇した。

しかしながら、例えば。
例えば、目の前の震える彼女が拒否したならば、自分はどんな行動を取るのだろうか。


「レンさんじゃなきゃ…ダメ、です…」


しかし、レンの心配はさも当然のように杞憂に終わることとなる。

恥ずかしそうにそう言った春歌に、身体の奥底から温まって、思わず緩む口許。

彼女の前髪を優しく分けて、覗いた額に、ちゅ、とキスをひとつ。

「目一杯優しくするから…俺に、全部委ねて…春歌…」












「んっ…あ、ぁ…――あっ!」

「ここ…?気持ちいい?」

「ああっ、ん…やっ、ぁ…っ」


中に埋められた二本の指が春歌を翻弄する。ある所を掠れば一際大きく、甘く鳴いた彼女。それをレンが見逃す筈もなく、攻め立てられた。

ゆっくり、甘く愛された春歌の身体のあちこちに赤が咲いている。秘部は充分なほど蜜を蓄え、新たな刺激を欲しがり蠢いた。

そんな媚肉の期待に答えるべく、指を引き抜く。指に絡まった愛液を当然の様に舐めとった。


「あ、ぅ…」


それを見た春歌は周知に顔を染め上げる。そんな彼女の耳元に、囁くように美味しい、と言えば更に真っ赤になる。
可愛いと、何処までも愛しいと、レンは思った。


「…一回イかせて楽にしてあげたいんだけどね…」


――はじめては俺ので迎えて欲しいから…。

レンは触れるだけのキスを落として、去り際に熟れた唇を優しく舐めた。


「ごめん、もう限界。…春歌、いい?」

「……は、い…」


肯定の返事を聞いたと同時に、レンはベルトを緩める。早急な所作で下肢を覆う布を取り払った。

ベッドサイドの棚に手を伸ばし、何かを手にして帰ってくる。
それの包装を歯を破いて素早く自身に装着した。

それを見て震える春歌の身体。


「レン、さん… っ」

「…怖いかい?」

「だって…その……大きく、て…」

彼女は目を反らす。
レンは困ったように笑った。


「ごめん。痛い思いさせてしまうだろうね…。でも、」

「――!」


ぴたりと、触れ合う二人。


「受け入れて欲しい…」

「あっ…ん、」


割れ目をなぞるように腰を動かして。蜜を絡めた。

レンは彼女の細腕を自らの背中に回させる。


「爪、立ててもいいから…」


――いれるよ?

春歌はゆっくり頷いた。
甘い吐息をひとつ吐いてから、彼は腰を進めた。途端に彼女の顔が歪み、回した手に力が入る。

侵入を拒むように動く媚肉をゆっくり、確実に、レンの形に開いていく。


「や、ぁ…痛、…」

「もう、少しだから…ごめんね」


背中に刺さる爪にぴりりと痛みを感じる。だがレンはそれを表には出さなかった。
彼女の方が、ずっと痛い思いをしている。
男には一生解ることのない痛み。

レンはこれまで何人もの女性のはじめての男となった。
痛がる子を心配なんてしなかった。自分の性欲が満たされれば、正直どうでも良かった。

だが今は。
必死に受け入れようと、痛みをおっている彼女に、酷く心が痛い。

膝裏に添えて足を開かせていた両手を外して、小さな身体を抱き締めた。
そして最後に根本までの挿入。
肩口で泣く春歌に罪悪感すら芽生えてきた。


「はぁ…っ。入った、よ。…平気?」

「ぁ、ん…っ、はあ…。だい、じょぶ…です…」


絡み合う視線に引かれるようにどちらからともなくキスをする。
熱く、熱く、蕩けるようなキス。

終始行われている収縮に、ぐっと堪える。

――彼女を大切にしたくて。
何度湧き起こる衝動をかき集めた理性で押さえ込んで。
それこそ夢にまでみたこの瞬間。


「愛してる、春歌…。俺今すごく、幸せだ」


抱き締める力を強めれば、それに答えるように背中に回る細腕にも込められる、力。


「私、も…。…」


――愛してます、レンさん。

「すき」と云われたことはある。だが、「愛してる」をレンは貰ったことがなかった。

ふわりと涙目で微笑む春歌に、全身が心臓になったように脈打つ。
彼女に割り入った其処も例外ではなく、少し成長を見せる。それを敏感に感じ取った彼女は赤面し慌てるが、突如降ってきた熱いキスが思考を痺れさせた。


「それは、反則」





一万打フリーリクエスト:まなかさん
「レン春初H」




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