「あっあっ…ん、ぁ!」
「は、ぁ…春歌…っ!」
「らめ、…らめっぁ、あ!イ、くっ」
「ああ、いいですよ…何度でも、んっ…イかせてあげますから…っ」
小さな身体がビクンとが跳ねて、今日何度目になるかも判らない絶頂を迎えた。
それによるきつい収縮。トキヤは波に堪えるように奥歯を噛む。
「ぁん…は、あ……トキヤ、く…」
甘く喘ぐ春歌に触れるだけのキスを落とす。
体制を変える際、とろり。
混じり合った体液が純白のシーツに溢れた。
「まだ、足りなさそうですね…もっと、欲しいですか?」
――私の事が。
情欲にまみれた熱っぽい声で囁けば返ってきたのは、肯定の返事。同時に彼の首には細腕が回される。
艶やかに微笑んだトキヤの頬には汗が伝う。
張り付く前髪を鬱陶しく思ったのか、左手でそれを掻き上げた。
ぐったりと項垂れた四肢に鞭打つように再び深く穿つ、猛った屹立。
「あっ!やぁ、ん…はあっ…あつ、い」
「ん…?あつい、ですか」
それは媚薬の熱か行為の熱か。
「あつ、い…です…んっ、」
…おそらく両方だ。
「…では少し涼しくなりましょうか」
腰の動きを止められて物欲しそうに春歌の細腰が揺らめく。
今すぐにでも律動を開始したくなる衝動を押さえ込んで、彼女の手を引き、自らの膝の上に誘った。
「あっ…深…」
「我慢してください。…これからもっと深くなりますから」
ぎゅっと首に巻き付いた春歌の背中と、尻を支えるようにして、
「――ひあっ!」
「っ!そんなに、締め付けないでもらえますか…」
繋がった状態のまま、トキヤは立ち上がった。春歌の足が空を切る。
「ひ、ぃっ…ああんっ!やあっ!」
そのままゆっくり歩き出す彼に、困惑。
歩を進める繋がったところから鳴る卑猥な音。春歌の奥を捉える音だ。
やがてひやりとした窓ガラスに押し付けられた春歌は、嬌声とは違う高い声が上がる。
宙をさ迷っていた足が地に着いた。
「これなら少しは涼しいでしょう?」
彼女の片足を持ち上げて。
律動が再開される。激しい動きに伴って窓ガラスが軋んだ。
「トキ…ぁっ、く…」
「はぁ、…んっ…少々、動きづらいですね…」
ちょっとすみません。
そういってずるりと引き抜かれたトキヤの自身。
手早く春歌の身体を反転させると、冷たい硝子に上半身を押し付ける。
硝子に貼り付いた春歌の左手。それに重なるトキヤの左手。
彼の右手は、今にも崩れそうな下肢を支えるために細腰を引き寄せ、抱え込んだ。
トキヤの身体が春歌の身体に後ろから覆い被さり。
そして蠢く入り口にあっというまの、挿入。
嬌声を上げながら呑み込んだ。
ふと、うっすら覗かせた夜に似合わない日だまり色の双眸は窓硝子越しに眼下のネオンサインに奪われる。
綺麗などと思ったのも束の間、麻痺する思考の中で自分の置かれている状況に気付いた。
「――!っや、だ!トキヤく…ぁっ、」
それは今日はじめての拒否。
「、どうしました?」
「見られ、ちゃう…」
そう言った彼女に微笑んで、肩口にキスを贈る。
「それにしては…先程からキツくなってますよ、君の此処」
「あ、ぅっ」
ぐるりと円を描くように腰を使ってやる。
跳ねる腰に散々猛ったものを送り込む。溢れ出た二人の体液は重力に逆らわず、春歌の白い足を緩慢な動きで伝っていった。
「見られてると思って…感じてしまったん、ですか?随分いやらしくなったものですね…私のお姫様は」
「違っ…ん!あ、ぁ」
「そんな君も…愛しています」
吐息交じりにそう囁いたトキヤはより激しく、彼女の身体を揺さぶった。
「ふぁっ、あっトキ、…す、き…っあ!」
「…っ…君も、限界でしょう…はぁっ…ぁ。一緒に、イきましょうか」
やがて二人は同時に達し、彼女の中に注がれたのは、熱い白濁。
曇った窓硝子に残された指の跡が妙に官能的だった。
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