Darlin' | ナノ


アナタと過ごす休日は(2/4)

砂浜から海岸沿いの道に上がって10分くらいのところに、そのお店はあるらしい。


まるでコテージみたいな外観の喫茶店で、冬馬さんの知人が奥さんと二人で経営しているそうだ。


「そいつも昔バンドやってたんだけど、音楽と同じくらい海も好きな奴だったからね」


冬馬さんが、歩きながらさっきより少しだけ遠くなった海に目を向ける。


「海って言うと、やっぱりサーフィンですか?」


「それもあるけど、アイツの場合は‥‥」


「?」


首をかしげた私に、冬馬さんはにっこり笑う。


「まあ、着けば分かるよ」


その頃の事を思い出してるらしい冬馬さんは、まるで少年みたいに見える。


何だか心の中がジンワリ暖かくなって、私はそっと冬馬さんの腕に寄り添ったのだった。





(え、何‥‥?)


目当てのお店に到着してすぐ、私の目は店内のある一角に釘付けになった。


(手前にあるのはいろんな形に曲がった自然の、流木‥‥のオブジェなのかな?)


その横のテーブルの上には私が名前も知らないようなきれいな貝殻だとかカラフルな色つきガラスを使った小物やアクセサリーがたくさん並べられている。


一見して、ここが喫茶店だとはとても思えない。


「みのり、シーボーンアートって知ってる?」


「シー‥‥?」


「シーボーンアート、だよ‥‥一般的に、海岸に流れ着いた自然の流木や貝、それに海水に洗われたガラス片だとかを使っていろんなものを作るんだ」


すっかり夢中になって眺めていた私の後ろから冬馬さんが解説してくれた。


「そういうのがあるんですか‥‥」


「これは全部ここの店長、俺の知り合いが作ったモンなんだよ」


アイツ顔に似合わず、こういうの作るの得意なんだよなあ。


冬馬さんがそう言って笑った時、不意に私達の後ろから呆れたような声がかけられた。


「俺の顔と手先の器用さは関係ないだろう‥‥まったく、相変わらず好き勝手言ってくれるよな」


「!?」


驚いて振り返った私に「いらっしゃいませ」と笑いかけてくれたのは、色が黒くて筋骨隆々としたまさに海の男という感じの人だった。



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