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今、思ってる事が同じなら(1/6)



僕としたことが、なんということだ・・・




長月も終わりに近づき、厳しかった残暑がようやく和らぎだした中

苛立ちと焦りを抱えつつ、長崎の街を足早に歩く僕の頭の中に浮かんでくるのは

昨夜の出来事と、はづきの笑顔

それから

以前、一度だけ目にした、ある日付・・・








今、思ってる事が同じなら









事の発端は、昨夕のこと

海援隊の仕事を終えて戻ってきた僕を待ち受けていたのは

いつもと違う料理の数々と、楽しげな皆の笑顔


これは一体何の騒ぎだ?


何が起きているのか、理解できずに居た僕は


「今日は、武市の誕生ぱぁてぃじゃっ!」

「誕生ぱぁてぃ?それは一体?」

「半平太さん、お誕生日おめでとうございます!」


楽しそうに、にっこりと笑うはづきの言葉に、今日は自分が生まれた日なのだということを、ようやく思い出した

だが、僕が生まれた日と、この宴とに、一体何の関係があるというんだ?

思わず顎に手を当てた僕の心中を察したのか、にししっと龍馬が笑う


「はづきさんが言うには、未来では、生まれた日をこうして皆でお祝いするんじゃと」

「生まれた日を祝う?」

「そうらしいっス!皆で祝う宴のことを『誕生ぱぁてぃ』と言うそうっス」

「半平太さんの誕生日が今日だってこと、以蔵から教えてもらってたから、こっそり準備してたんですけど」


さぷらいず成功だぁ・・・はづきが言う「さぷらいず」とやらが、何なのかはわからないが

小さな拳をぎゅっと握り、やったぁ、と嬉しそうに笑うはづきの可愛らしさに、知らず頬が緩んでしまう


自分でも忘れていた、己が生まれた日

その日を、こうして祝ってもらうという初めてのことに、嬉しさと気恥ずかしさがこみ上げてくる


本当に、君という子は・・・


「半平太さん、主役はこっちに座ってくださいね!」

「ああ、わかった」


未来では、生まれた日を、こうして皆でお祝いするのか・・・

はづきも、未来では、こうやっ・・・











・・・・・っ!




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