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世界でいちばん。(1/15)

ふぅ…。


最近、気が重い。


一ヶ月ちょっと前、最近デビューし、売り出し中のバンド『END』の宇棹さんに初めて出会ったのだけれど…




「みのりちゃんて、可愛いね。

俺、ファンなんだよ

テレビ見て、すげー可愛いって思ってたけど…

実物見たら顔、ちっちゃいし…華奢だし…マジで可愛くて…会えて良かった」



「わ…有難うございます」


最初は…冬馬さんのようにオープンな親しみやすい良い人なのだと思っていたのだけれど…


すぐに、それが大きな間違いだと思い知らされるようになった。



CDを出したばかりで、あちこちの番組に出演する私と、

売り出し中ということで、同じようにあちこちの番組に出ている宇棹さんとの出演が重なり、


……会う度に、つきまとわれるようになったのだ。





「ねぇ…JADEの井上秋羅と付き合ってるって、…マジなの?」


「はい……本当ですけど」

秋羅さんと付き合ってることは公表しているため、別に隠す必要は無いので正直に答えると、


「…ふ〜ん、なんだ〜話題作りのための事務所からの指示とかじゃなかったんだ…」


私のことをジロジロと値踏みするような視線とともに、思いもよらない言葉を言われ


ムッとしたので、


「違います。秋羅さんとは本気でお付き合いをさせて頂いてます」


と、ハッキリ答えても、


「…ふーん。そうなんだ…本気ねぇ」



『井上秋羅の女癖悪いの知ってるの?』とか


『絶対、浮気されるって』

『年も離れてるし、話題合わなくて無理してんじゃないの?』


『無理して付き合ったって疲れるだろ?』


会う度に嘲笑うかのような表情でそう言われ、


その度に、

「そんなことはない」と言い続けてきたものの、



……言われた言葉は、秋羅さんと付き合い始めた頃に、

私自身が不安に思っていたことそのものだったから…

……チクリチクリと古い痛みとともに不安が呼び起こされるような気がした。


もちろん秋羅さんのことは大好きで、秋羅さんも私のことを大切にしてくれていると信じているけれど、


あまりのしつこさにだんだんと苦しくなっていった。
.


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