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わたしの隣、あなたの隣(1/3)


「秋羅さん、お誕生日おめでとうございます」


シャンパンの入ったグラスを軽く重ねるとキンッと透き通った音が響いた。


「誕生日なんて、祝ってもらっても嬉しいもんじゃないと思ってたけど…

みのりとなら…いいもんだなって思えるよ。ありがとな…」


そう言ってシャンパングラスを傾けた秋羅さんは、少し照れているように見えた。






フレンチレストランのプライベートルームに二人きり。


大切な記念日を、私たちは人目を気にすることなく楽しんでいた。


恋人として祝う秋羅さんの誕生日は、すごく嬉しいのにちょっぴり照れくさくて…


でも、誰よりも近い距離でこの日を祝えることが、何よりも幸せだと思う。






次々に運び込まれる料理に舌鼓を打ちながら、私たちはゆっくりと会話を楽しむ。


最後のデザートが運ばれて、私はかねてからの予定通りにウェイターさんに合図を送る。


それを見ていた秋羅さんは少し首をかしげて、それからちょっと不機嫌な声を出す。


「…みのり、何コソコソしてんの?」


少し拗ねた声に聞こえるのは…さっきのウェイターさんが男の人だったから?


自意識過剰?とも思うけれど、少し曇った秋羅さんの表情があながち的外れじゃないと教えてくれる。


「すぐにわかるから…でも、まだ内緒です」


ふふっと笑った私を今度は優しい瞳で見つめる秋羅さんに、私は見惚れてしまいそうになって慌てて運ばれたばかりのデザートへ視線を落とした。





戻ってきたウェイターさんが手にしているのは、私が昨日お願いして預けておいた荷物で…


中身のわりに大きな袋なのは、ギリギリまで内緒にしておきたいものが入っているから。


「ありがとうございます」


ウェイターさんから荷物を受け取ってお礼を言うと、「どうぞごゆっくり」と恭しく頭を下げて部屋から出て行った。


秋羅さんはそれが何なのかわかったようで、私と目を合わせて柔らかく笑う。


(プレゼントだってバレてるよね…)


テーブルの下でプレゼントを取り出すと、私はすぅっと息を吸い込んで秋羅さんを見つめた。


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