陽の当たる場所〜Session.3〜(2/4)
「いらっしゃいませ、何になさいますか?」
「あ、じゃあこれと同じものを‥‥」
晋平の前に置かれたグラスを指差すと、晋平はそれをやおら手に取って半分ほど残っていた酒を一気に飲み干した
「おい、晋‥‥‥」
「俺にももう一杯同じものを」
「かしこまりました」
表情一つ変えずにバーテンダーが立ち去った後、俺は晋平を軽く睨む
「まったく‥‥突然呼び出しておいて、今夜はヤケ酒だなんていうんじゃないだろうな」
『介抱役はゴメンだぞ』
そう釘を刺すと、晋平は軽く肩を竦めてみせる
「さあ、それは龍次第かな?」
「何?」
そして、まだ残っている煙草を強く灰皿に押し付けた
「そんな大層な事じゃないさ‥‥‥‥ただ、俺もいい加減ケジメを付けようと思ってね」
「ケジメ? 何の話だ?」
けれど眉を寄せた俺をよそに、晋平は続ける
「なあ、今日俺がこうして龍を呼び出したのは、佐藤さんに頼まれたからだって言ったらどうする?」
「‥‥え?」
俺の頭の中に、さっきまで一緒にいた佐藤さんの顔が思い浮かんだ
佐藤さんが晋平に?
何でわざわざそんな事を?
そう口にしようとして、ある事を思い出した
「そういえば、真っすぐ家に帰るのかって聞かれたな‥‥」
それで明日はオフだからと‥‥‥‥明日?
ある事に気が付いた俺は、慌てて腕時計で日付を確認する
「‥‥‥そういう事か」
額にかかる髪を掻き上げながら、大きく息を吐いた
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