KENJI's Happy Birthday!『Are You Ready?』(2/4)
一方こちらは。
「で?‥結局どーすんだよ?」
「ケーキとか軽食はキャンセル出来たから良かったけど、パーティーの企画自体は白紙に戻っちゃったからね〜」
雅楽と櫂が佐藤さんに聞こえないようにこっそり呟く横で、瑠禾が頬を膨らませる。
「ドーナツ食べ損ねた」
その様子に龍がため息をつきながら、フォローを口にする。
「だから瑠禾‥‥後でパーティーセットを買ってやるから今日は我慢しろ‥な?」
「‥‥分かった」
しぶしぶ頷いた瑠禾を見ながら、雅楽が呟く。
「やっぱり、このままじゃどうにもスッキリしねえ!‥‥いっそ大阪でどこか店探して‥」
雅楽がそう言いかけた時、佐藤さんがああそうや、と声をあげた。
「少しだけやけど空き時間もあるみたいやし、お前らにもどこか美味い店教えといたろか?‥何と言うても大阪は俺の庭やからな♪」
−ダメじゃん。
櫂、瑠禾、ちとせ、そして龍の四対の視線に責められた雅楽は、反論しようと口をパクパクさせていたけれど、結局何も言えずに黙り込んでしまった。
(クッソー‥‥佐藤の奴、まさかこっちの話全部聞こえてるんじゃねーだろーな?)
「‥‥とにかく、何か別のプランを考えよう」
龍の言葉に、他の四人は大きく頷いた。
(‥‥なーんか変やな?)
俺は、メンバー達が座っている後ろの席の様子をそっとうかがった。
いつも移動の時は、真っ先に窓際に陣取って寝てまう雅楽が起きとる。
しかも、櫂と長い事ヒソヒソ話しとるのに口ゲンカ一つせえへんときた。
きわめつけは瑠禾や。
あの、あの瑠禾が!
車内販売に何の興味も示さんなんてっ!
アイツら、今度は何を企んどるんや。
頼みの綱の龍とちとせまでが真剣な顔して一緒にヒソヒソやっとる光景に、俺の中の不安はさらに膨れ上がる。
まずい!
今日だけはまずいでっ!?
だって今日は‥‥‥。
やがて新幹線の車内にもうじき大阪に到着する、というアナウンスが流れた頃。
どうにも我慢出来なくなった俺は、立ち上がってメンバー達を振り向いた。
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