特殊設定。
30代バニーちゃん×初老虎徹さん。お豆腐バニー。

ラズベリーと囁きの続き。




担つぎ上げた虎徹さんを漸く着いたばかりの玄関先からベッドへ連行するまで約二十五秒。照明も付けず靴すらも脱がずにする、愛撫前の口付けに約三分。愛撫混じりも含めて約六分。愛撫もそこそこにとろとろにふやけた虎徹さんの身体を責め立て、エグいまでに熱を突き立てた1ラウンド終了まで約十分。同じペースで逸るように2ラウンド目をさせてから十二秒。虎徹さんは未だに僕にしがみ付いたままその余韻に浸っていた。激しく上下する肩口に口付けを一つ。空気すら入る余地のない身体をぐずり、と更に密着させて抱き合えば甘ったるい声が漏れる。顔が見えない虎徹さんの表情。想像するだけで、ああ、愛しい、愛しい。愛しい。陳腐だけれど、それにぴったりの衝動は信じられないくらい僕を蝕んで、彼を貪らせた。まだ、足りない。これだけしても。まだまだ、僕には彼が足りなかった。彼にはもはやその体力すら残っていないのは明白だけど。あともう少しだけ抱き合った身体をこのままで、彼の熱に触れようと、肩口の唇を首筋に滑らせ、顎先から唇に触れる。濡れた舌先が、ぬるり、と僕の舌に絡みつき、僅かに漏れる悲鳴にも声が零れた。そのどさくさに紛れて、ゆるり、ゆるり、と腰を揺すり、今しがた突いていたばかりの彼の奥を撫でる。その度に、僕の背中に立てられる、深爪気味の其れが心地よく皮膚を裂いた。
「ん、ん、バニ、ぃ…もっかい、すんの、?」
「いやですか、?」
「…ん、ーん…いい、っ」
その緩やかな肯定にくすり、と笑みを零して、ゆるゆると揺すった腰を徐々に早めていく。強かに狙いを定め、虎徹さんの好きなところを突き上げると、ねっとり、と絡みつく内部が、僕のペニスを擦り上げた。コンドームをする事すら忘れてしまうほど、心急く行為に泡立つ精液がぐずり、と滴り、僕の脛へ太腿を流れる。その感触にぞくり、と込み上げる狂気的な感情は、恐ろしい程、僕の自我と理性を奪い去っていった。酸素を求めて、ぱくぱくと喘ぐ唇を塞いで、このまま彼の息の根を奪う勢いで口付けを交わす。人を殺した事は無いけれど、きっとこんな風に猥らで激情に溢れているのでないか、と不謹慎にも思うくらいには、彼とのソレは刹那の快楽だった。
「ッ…ぅあッ…ンっ…んん、ァ、ッば、にィ、ッば、ァ、ァ、っ」
「こてつさん、っん、…ッてつさ、ん、」
呼び合った名も部屋の熱気や激しい破裂音に消えていく。思うがままに腰を打ち付け、貪った彼の身体の限界は近かったが、僕は、解放を許さなかった。彼の自由を、自我を奪ってしまいたい。懸命に僕に応えてくれる虎徹さん。壊れた人形みたいに僕だけを呼ぶ虎徹さん。決して僕だけのモノにはならないけれど、このひと時をもう少しだけ味わいたい、と跳ね上がるしなやかな尻肉を掴み上げ、抱き合った彼の身体をシーツの海に縫い付けた。その拍子に僅かに離れる身体。彫刻のように撓る筋肉の絶景。間髪入れずに空白を埋めた身体に強く打ち付けて、めくれ上がるその場所を抉っては限界まで、引き抜いて、また抉る。その繰り返しに、彼の身体から放たれる淫猥な香気は目眩を誘ったが、それよりも欲望の方が勝っていた。荒々しくうねる身体に縺れるシーツが絡みつく。僕を受け入れるのに必死になった、彼の唇からだらしなく零れる唾液を舌先で掬って、そのまま、噛み付くようにキスをした。吸い付いて、なぞって舐めて甘く噛んで。同時に腰に突き立てたペニスを震わせて。一滴も零す事無く、三度目のソレを注ぎ込むと甘く切ない声が僕の鼓膜を揺さぶった。虎徹さんが達したかどうかも分からない。ただ、あたたかくうねり僕に絡みつく彼のナカに僕の勃起は収まる所かいくら食い尽くしても足りないとでも言うように硬度を保っていた。
これではまずい。弱々しい息遣いを繰り返す虎徹さんはすでに限界を迎えている。このままでは彼の意識が何処で飛ぶかも分からなかった。ベッド、或いはバスルームかも知れない。僕も彼も現役ヒーローではあるが何分歳だ。何もないところで躓いたり、ヒーロースーツやハンドレッドパワー無しに虎徹さんを運べる自信が無いくらいには歳なのだ。まだ彼を味わっていたいと言う気持ちはある。まだ見ぬ更に奥を暴いて骨の髄までしゃぶり付きたいと。思うのは山々だが、僕の体力を逆算して此処が引き際だと答えが出たからには僕は虎徹さんのナカから硬くなったソレを引き抜かなければならなかった。
抱き合ったままの身体を少しだけ離し、彼の腫れ上がった目蓋をぺろりと舐める。そのまま僅かな塩味を喉に飲み下して、一声、「虎徹さん」と呼ぶと虎徹さんは条件反射みたいに僕の名を呼んだ。縺れる舌や眠たげな声が東洋人特有の幼さを増長させる。これではどっちが年上なのか分からない、と込み上げる笑みに、虎徹さんは乱暴に僕の唇を奪った。啄んで、吸い付いて、まるで小鳥の囀りみたいなキス。その度に襲い来るどうしようもない愛しさが心を満たして…。せっかく僕がこんなにも僕自身の毒牙からあなたを守ろうと躍起になってるのに!なんて人だ…!と思うだけで結局、僕は彼の誘惑に飲み込まれてしまうのがオチだった。
「ん、ん、っこて、つさんっ、!そ、ろそろ、バスル、……ッん、ムに、」
「ん、まだ、だめ」
たった一言。僕の渾身の言葉をダメの一言で切った虎徹さんは未だ膨張したままのソレをぐちぐち、と柔らかくなった皺の集まりで擦り上げる。濡れて絡みつくような感触は手では再現出来ない程に淫らで、その都度、揺れる大きめの尻は、目の毒その物であった。脳みその芯の芯まで蕩けてしまいそう。溶け出して、ぐちゃぐちゃになって、右も左も分からなくなるくらいに、また腰を振って。嗚呼、多分。この物語の結末はあなたが予想した通りになるのだろう。あなたが望むがままの結末に。僕はそんな事を思って彼の身体を強く強く抱きしめた。
どろどろのシーツ、艶やかな声色と吹き込まれた熱い吐息。まだ少しだけ遠い朝が僕らを迎えに来る前に、溶け合うことの許されない身体を溺れさせる。そうして、絡みつく指先に愛しさを込めて口付けを落として、細められる目蓋ときらきらの明るいブラウンに僕の姿を映し出せば、僕は永遠の愛を誓うように彼の身体を貫いた。軋むような脈打つ鼓動が呼吸を奪う。泣きたくない。それなのに溢れ出す涙が止まらないのは僕が彼を愛しすぎている所為。

それから、僕と彼の愛が永遠ではない事を心の何処かで知っているからだ。







そして致死量の愛を真似る








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