「や、まっ…ツナ、待って」



お決まりの、この言葉を聞いて手を止めた。



「…なんで」



思わず不機嫌な声が出る。

今、俺の手は春乃の服の中にある…わけではなく、ただ春乃の頬に添えているだけ。

キスを迫っただけなのだ。



「だってツナのキス…、しつこいんだもん」



がん、と頭がハンマーで殴られたかのようにその言葉が響いた。

そんなことを思われてたなんて。



「…へぇ?」


「ツナ怖…あっ、やだぁ」



プツンと何かが切れた音が聞こえ、頬に添えていた手で顎を掴んで上を向かせる。


じたばたと暴れるけど、瞳は潤んでるし、頬は僅かに赤く染まってるし、誘ってるようにしか思えない。



「俺ね、嫌だっていわれたら余計したくなるんだよね」



瞳を覗き込むように言ってやれば、春乃は頬をみるみる真っ赤に染めた。



「なっ、なななにその……そんなの、…」



しどろもどろに言い返そうとする春乃が可愛くて。

油断してるのをいいことに、春乃の腰を引き寄せて軽く、キスした。



「…!、ツ、…っふ…」


甘い甘い、春乃の香りがして止まらない。


一回離してまた引き寄せられるように口づけ、何回も繰り返す。

そのうち、抵抗してた手は動かなくなり、目はトロンとしてきた。

それを見計らったように唇の隙間から舌を入れ、口内を蹂躙する。

歯列をなぞって、逃げる舌を絡め取って。


途中、春乃の腰が抜けて離れそうになったけど捕まえて離さなかった。






満足するまで春乃を味わうと、ようやく春乃を解放した。



「…はぁっ……し、信じられな…」



未だ俺に体を支えられながら、顔を真っ赤にさせて喚く春乃はまだ俺が言ったことがわかってないようだ。


だから、さらに腰を引き寄せて、顔を近づける。



「えっ、や、…ちょ…」



拒むようにもがく春乃の耳に顔を寄せて囁いた。



「ねぇ、嫌だ、て言ってみて?」


「…っ!」



驚きからか、大きな目をさらに見開いて、口をパクパクと動かし始めた。


目はあちこち動いて、考えていることがすぐわかる。



「…じゃ、…い」


「ん?」

「嫌じゃ、ないっ!」

思った通りの答えに思わず、にやり、と口角が上がった。



「じゃあ、いただきます」








君のせいでもあるんだよ






「…ツナのばかぁっ!」

「俺、春乃のそういうとこ可愛くてしかたないよ」

「今度は引っかからないもん!」

「あっ!」

「えっ?」

「…ふっ」

「…っ、ツナなんて嫌いだぁーっ」


(これでキスするな、とか無理だろ)



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