03
早乙女学園学生寮への引っ越し 前日





「まったく、計画性がないとは正にこれですね。」




荷物の整理が中々できず、むしろ散らかっている私の部屋を呆れながら見下ろす視線がとっても痛い。



「ス…スミマセン」



本当に無理って叫んでたら隣の部屋から「煩いですよ」と怒って入ってきたトキヤは扉を開けた瞬間固まって頭を抱えていた。



「家具は揃っていますし、最悪今まで書き溜めた曲のスコアかデータだけで十分なのでは?」



「女の子はそうはいかないの。」


「でしたら余計に前々から片づけておくべきです。1か月程でまた引っ越すとわかっていたのにまた全て広げるからこのような事態になるのですよ」



お母さんの提案…というかお願いで、少しでも私やトキヤに家族と言うものを味あわせたいと1か月間だけ4人で暮らすことになってから…明日でちょうど一か月。

何だかんだ必要なものばかりで私は一度まとめた荷物をまた広げ、そして今またそれを片づけている…




















「は〜!やっと終わったぁ。ありがと、トキヤ!」



トキヤの手伝いあってか、意外と早く片付けが終わり、綺麗になった部屋を見渡してぐーっと背伸びをすると、トキヤが不意に近づいてきた。


「…埃、付いてますよ。ほら」


「っっっ!!!?」


トキヤの綺麗な顔が近づいて、私の髪に手を伸ばす。髪をふわりと触っただけで、心臓がドクリと大きな音を立てて私は驚いて思わず後退りした。


「…そんなに意識をされても困りますね。埃を被った片付けの苦手な残念な女性を取って食ったりしませんよ。」



「いや、あの…ご、ごめん!お風呂入ってくるね!」



急いで立ち上がり、できる限りのスピードで部屋を後にした。

何で…治まってよ私の心臓!!!
トキヤの顔が近くてこんなにドキドキする…私、どうしちゃったんだろう。








…ん?ていうか、さっきトキヤの奴私のこと残念な女性とか言ってなかった?!
何か急に腹立ってきた!!!!

















・・・BathTime・・・





埃や塵で汚れた身体を綺麗に洗い、チャポンと足をつけて、湯船につかった。はぁっとため息をついて、湯船に肩までつかるとジーンとした暖かさが身体を癒した。




「はぁ…何か毎日振り回されて疲れた…」


「それも今日で終わりですよ」


「うん、そうなんだけどさー…」


「…」


「…」


「だけど…なんですか?」



…ん?横を向くと、トキヤが湯船につかっていた。

  …トキヤが湯船につかっていた…!?







「…ギャァアっんぐ…むぐんんんん!!!」







反射とも言うべきか、私は思わず叫んだ。すると、トキヤが近づき後ろから私の口を手で塞いだ。



「大きい声を出して、気付かれたらどうするんです?」


「っ…」


ニコッと薄く笑って私の顎に手を掛けると、私の口を今度はトキヤの唇で塞いだ。
徐々に唇を割ってトキヤの舌が侵入する。絡み合うとクチュリという音がお風呂場のためいつも以上に響き渡る。


「んん…ふぁ…ちょっと、嫌ぁ…トキヤ、何で…」


「貴女に拒否権を与えたつもりはありませんよ」



トキヤの唇から解放されると、トキヤの唇は私のうなじや首筋にキスを落とす。
そして大きな手で胸を揉み始めた。わざと指の間で擦るように揉みしだき、私の感覚をより敏感にさせていく。


「っ…残念な女を…ぁん…取って食ったりしないって、んんっ…言ってなかった?」


「綺麗に埃が取れれば、少しはマシになるのでは?それに、貴女も感じているはずですよ…?」


「何、を…?」


私の精一杯の厭味を更に厭味で返すトキヤ。
質問の意味が分からず聞き返そうと振り返ろうとすると、急に腰を抱かれて浴槽の淵に四つん這いの恰好にさせられる。不安に思って抵抗を示そうとするが、そんな間もなく、慣らしていない蕾にトキヤのものが挿入された。だけど、すんなり受け入れることができる私の身体…それだけで濡れてしまっていた様で、羞恥がこみ上げる。
慣らしていないためか急に腰をガンガン突かれ、刺激に内壁が擦られて気持ちいのと痛いので頭がおかしくなりそうだった。


「ひぁあああ…痛…あああ、や、やら…だめ、トキヤぁ」



後ろから覆いかぶさるようにトキヤが私の背中から「身体の相性…ですよ。ほら…もうこんなに私を締め付けて離さないじゃないですか」と艶めいた声で私の耳まで犯していく。


「あ、や、あぁあ…も、ゆっくり…」


「クス…おねだりですか?可愛いですね。でも、聞いてあげられそうにありません。」


「ぁ、ああ、んぁあ、トキヤ…いやぁ、あぁ…」



ガツガツと角度を変えながら腰を進めるトキヤは小さく「イきますよ」と発すると更に最奥をついてスピードを速め、絶頂へ達したのだった。
















逆上せた身体を冷やしてやっと着替えを終えた。トキヤはそんな私を見捨てて自分の身支度をササっと終えて出て行ってしまっていた。


耐えられなくて、大きな声を出してしまったけれど…外にまで響いていたのかな…誰かに聞かれてたりはしてないよね?バレてない…よね?

そんな不安ばかりが頭をよぎった。





「あれ?のえるちゃん?何してるの?」


後ろから急に声がしてビクリとする。最近の私、驚いてばかりだ…


「!!?ぱ、パパさん…今、帰りなの?」


「あぁ、ただいま。明日引っ越しで寂しくなるけど、進級はめでたいからね。ケーキ買ってきたよ。早く皆で食べよう。」


スーツをびしっと着こなして、モデルのような凛々しいパパさんはニッコリと柔らかい笑顔だった。すると、リビングからトキヤが出てきた。



「お帰りなさい。真琴さんはこれから帰ると先ほど連絡がありましたよ。」


「トキヤは甘いものダメだろうから、ほら、コーヒーゼリーとビターチョコのカップスイーツ買ってきたぞ〜」


「ありがとうございます。」





誰も家にはいなかった…お風呂であんなことをしてしまって、どうなることかととても心配していたが、取り越し苦労だったようだ。だけど、あのお風呂場でのやり取りはフェイク。まんまとトキヤのペースに乗せられてしまったことに気付き、またも怒りが沸沸と高まるのでした。
トキヤを見ると、クスクスお腹を抱えて笑いながら、「もしも、の過程の話をしたまでですよ。両親が居るだなんて言ってません。」とまた意地悪なことを言っていた。





そのあと、4人でケーキを一緒に食べて、明日からの早乙女学園生活への門出を祝ったのでした。


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