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「ひぃいっ!」
告白後の沈黙は長く続いていた。けれど、急に降り注がれた光が窓から入ってきた、その瞬間地響きのような音と恐竜の鳴き声みたいな雷の激しい音が教室をいっぱいにした。
どこかに落ちたんじゃないのかな…すごい雷。
それにしても色気のない悲鳴をあげてしまった…私ってつくづく残念すぎる。
急に現実に戻されて複雑な気持ちでいっぱいだった。
「のえる…とにかく今はここをでましょう。」
「うん。あの…トキヤ、傘もってる?」
「…持ってますよ。」
「おぉ…!」
「まさかとは思いましたが貴女という人は…朝ニュースを見ないのですか?夕方から激しい雷雨、降水確率90%ですよ。今日傘を持ってくるのは常識です。」
「はは…は。…すみません。」
トキヤのものすっごく残念な人だなって視線が痛い。
けど、トキヤは私を送ってくれるらしくちゃんと傘を差しべてくれた。
帰り道、激しい雨が打ち付けられて少し肌寒い…
何を話していいのかもわからず、少し俯いて歩いた。
もうすぐ寮に着いてしまえばトキヤと別れなければならない、もうちょっとだけ一緒にいたい。
不意にトキヤを見ると、同じくトキヤも少し俯いて、表情は読み取れない。
けれど、トキヤの肩は雨に打たれ制服がペタリと張り付いていたのを見つけたのだった。
私を濡らさないようにしてくれているのだと気付いた時には、すでに寮の入り口まで来ていた。
「…」
「…」
「っくしゅっっ」
「ごめん!!…タオル持っていって。」
着いた後も互いに無言のまま…「バイバイ」って一言言うだけでいいのに、言えないよ。
そう思っていると、トキヤがくしゃみをした。あの、健康管理オタクみたいなトキヤが…私を探して汗をかいた後、肌寒い中を帰って雨にも濡れてしまったからだろうか。
私はトキヤの腕を掴むと自分の部屋へと向かおうとした。なんて大胆な行為をしたのだろうかと一瞬躊躇して歩みを止めると、トキヤは「はい…ありがとうございます。」とニコリと笑って返してくれた。
自室のドアを閉めて持っていたタオルでとりあえず荷物や肌を拭いて中に入ろうとすると、トキヤが後ろから抱きしめてきた。
「…トキヤ…ごめん。」
「のえる…すみません。」
濡れた制服が合わさってペタリと肌に貼りついた。
私は、告白してしまったことを謝った。ただでさえ恋愛禁止の校則があると言うのに、お互いに思いを告げてしまったのだ。
「なんで…トキヤが謝るの?私が言わないつもりでいたのに、好きだなんて言ったから…ごめん。もう、言わないから。」
そう伝えると、トキヤは私を反転させ自分の方へと向かせた。目が合うと、トキヤの綺麗な瞳から一筋の涙が流れていた。ハッとすると、トキヤは私をきつく抱きしめた。「ダメです…」と震えた声でつぶやくと、私の顎を持ち上げて唇を強く押し付けた。
「んぅ…ふ…」
「もっと、言ってください。」
「…好き。好きだよ、トキヤ。」
「貴女が私を好きだなんて嘘みたいです。」
「嘘じゃないよ。ごめんね、気付くのが遅くて。」
「あぁ…本当に、愛しています。」
唇が離れるとどちらのものかわからない銀糸が唇を結んだ。
トキヤが私の愛を求めて泣いていた…もっと言って欲しいというトキヤに何の戸惑いもなく応えた。もう止まらなかった。
惜しみながらトキヤが私の唇から離れると、トキヤが濡れた制服を脱ぎ始めた。すると、均整のとれた躰が目の前に現れて、つい目が離せずにいるとトキヤがこちらに気付いてニコリと笑った。「ごめん!」と言って目を逸らすとまた抱きしめられて、首筋に吸い付いてきたトキヤの吐息がとても熱かった。
制服を丁寧に脱がされるとやんわりと胸を大きな手で包まれて乳首を擦られる。
徐々に下着をずらしながら硬くなってきた先端を弄られた。
「ぁ…や…」
「嫌、ですか?」
「違…そうじゃなくて、その…恥ずかしいから…」
「ふふ、可愛いですね。」
こんな風に優しく服を脱がされたことも、優しくされながらすることも初めてで心臓が口から出そうなくらい緊張していた。そんな私を少し悪戯に翻弄しながらリードするトキヤはスカートをめくると下着をずらした。
足を持ち上げられると少し腰が浮いて丸見えだ。咄嗟に手で隠そうとすると「ダメですよ」と難なく抵抗を交わされ手を握られた。
トキヤが秘部に顔を近づけると割れ目にキスをした。クリトリスに舌を這わせると円を描く様に舌先を動かし、だらしなく垂れた愛液をジュルジュルと吸い上げた。
トキヤが徐々に顔をひっつけてクリトリスを甘噛みしたり吸ったりするたびにピクリと体を震わせた。そして繋いでいた手を片方離すと人差し指を挿入し、中を掻き回し始めた。
「きゃぅ…ひぁあ、あ、ああん…それダメ…」
「イっていいですよ?」
「ぁ、ああ、んぁあ、や、やぁ…イッちゃう…や、ひゃぁあっ」
指を2本に増やしてバラバラに指を動かし内壁を引っ掻くと呆気なく絶頂に達した。
荒くなった息を整えようとする暇もなく、すぐにまたトキヤに引き寄せられるとトキヤの熱い肉棒が躰を貫いた。
指とは全く違う質量と刺激に声が止まなかった。
「ん…く…はぁ、気持ち…いいですよ。」
「んぁあ、トキヤ、トキヤぁ…」
「はい…のえる…愛してます。大事にしたいのに…でも止められないんです。」
私がトキヤの名前を呼ぶと、トキヤはまた愛を囁いた。
繋がった部分からはグチュグチュと愛液が溢れ、肉のぶつかる音が部屋に響いた。
「ん、ん…いいよ…トキヤとちゃんと繋がってるってわかるから。だから、もっとトキヤを感じさせてよ…」
「のえる…」
「は…ぁん…ふ、ぁあっ」
「く…のえる、ぁ…イってもいいですか?」
いっそう腰の動きを速めると、奥へ奥へと肉棒が当たって躰が痺れるようだった。
「ん…一緒に…ぁあっ、あ…」
「はい…」
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シャワーを浴びて部屋に戻ると、すでにシャワーを浴びてベッドでくつろぐトキヤの元へ歩み寄った。
端に座ると抱き寄せられて、トキヤと向い合せに横になった。
「明日、授業もないですし、仕事も夜からなので丁度良かった…」
「何が?」
「家に行きます。ちゃんと、話してきます。」
「話す…って何を?」
「私は、ずっと前から姉であるのえるを愛していたということをです。だから家族にはなれません、と伝えます。」
唐突に話されて混乱する私と違いトキヤは落ち着いている様子だった。
伝えた所で、一体どうなるのだろうか。ただ「姉弟なんだから、家族なんだから無理に決まっている、あきらめろ」と言われるだけに思えて戸惑った。
「でも…」
「それでダメと言われても、方法はなんだってあります。あ、そうそう。HAYATOの引退も明日、発表しますので。」
「ええええ!!?」
HAYATO様引退しちゃうの早くないですかーーーーー!!!
驚きすぎて叫ぶとあからさまに嫌そうな顔をしたトキヤは私の頬を抓った。
「何ですか、やはりHAYATOの方がいいと言うんですか貴女は。」
「違う、違うけど…でも」
でも、トキヤが大事にしていたものなのに、そんなに急でいいのだろうか。
授業に遅れて出ようと必ずトップの成績だし、歌の方だって今回は順調だ。そんなに急いでHAYATO様をやめなくてもまだ両立は可能だ。折角なんだからもうちょっと慎重に行っていった方がいいのではないか…
けれど、トキヤの気持ちは変わらないようだ。真っ直ぐな瞳が私を離さなかった。
「もちろん、卒業オーディションはのえるの曲で優勝してみせますから。」
「…はい。お願いします。」
「ふふ、決まりですね。」
嬉しそうに笑うとトキヤは私を抱きしめた。