22

薄暗い教室に、音也だけが映る。
徐々に近づく音也を静止させようと名前を呼んだけれど吸い込まれるように私の唇と重なる。




「音也…何…んんっ!」


「んっ…はぁ…」




顔を横に背けようとすれば顎を掴まれて薄く唇を開かされた。間からヌルリと侵入してくる音也の舌に嫌悪感を感じた。
呼吸ができないほど貪られて、音也の胸板を強く押すけれど音也はビクともしなかった。

制服のボタンを上手に取ると下着の上から思いきり強く膨らみを揉まれ、食い込んだ爪と歪んだ肉がとても痛かった。





「や、やめ…」


「トキヤにも、こうされたの…?」


「…っ」



やめて、と言おうとすると音也が泣きそうな顔で私に話しかけた。
全部知ってしまったのだとわかると、心臓がいたくて息が詰まった。
私の表情を見ると音也はまた眉間にしわを寄せて「ごめん」と謝った。

下着を無理にずらされて露わになった胸。
音也がすくうように胸を揉みしだき、先端を指で転がした。
心とは裏腹に私の体はビクリと素直に反応した。



「ごめ…ごめん。」


「っぁ…ん…やだ、やだってば。音也っ」



どんなに抵抗しても、音也の行為はエスカレートしていった。

首筋を吸われ、徐々に下へと頭をずらす。一方で抵抗からか捲りあがったスカートの中に手を忍ばせて、内股をスルリと撫でた。

乳首をチューチューと吸い上げては甘噛みされ、中心がジンジンと感じているのがわかった。
トキヤ以外に触られることの嫌悪感で吐きそうだと言うのに、自分の躰がどれだけ醜くて卑猥なものであるのか思い知らされた。




「…のえるのここ、濡れちゃってるよ?」


「いやぁ!!」




音也の指が下着のクロッチに触れると、湿り気を帯びていることがわかる。
音也の言葉が更に私を追いつめて涙がこぼれた。

ネクタイで私の腕を縛ると、音也は私の腰を浮かせて下着をはぎ取った。そして濡れたところへ人差し指を這わすとそのまま中へ侵入させた。





「ひぁあっ…や、やぁ…だめ」


「ごめんね…も、止まんない。」


「や、やだ…ト、キヤ…」


「…っのえる」




グチュグチュと中を刺激されながらクリトリスは親指で押しつぶされ、嫌なのに感じていた。カチャカチャとベルトを外す金属音が響いてきて、音也から止まらないとつぶやいた。最後までされてしまうと思ったら辛くて、助けてほしくてトキヤを呼んでいた。


私がトキヤの名前を呼ぶと音也が一瞬怯んで身を上げた。









「のえるっ!!!」























音也の後ろには汗だくになったトキヤが私の瞳に映し出された。
息を切らしてこちらに近づくと、その光景にトキヤは目を見開いた。


「っ…ぁ…ぅ…」




言葉にならなくて、ただ涙が溢れる。
乱れた制服とはぎ取られた下着、きつく縛られた手首を見ると、トキヤは音也に殴りかかった。
そして私に制服の上着をそっとかけると音也を睨みつけていた。





「音也!?これは…どういうつもりですか。」


「トキヤ…俺、」


「音也、すみません。私がのえるを傷付けてばかりいたから、音也も苦しめたのかもしれません。ですが、のえるにこんなこと…いくら音也でも許しませんよ!」


「ごめん、俺。」








音也は私を見てまた謝って、その場を走り去った。






「ぅ…」


「すみません。のえる…のえる。」





トキヤが私を抱きしめた。いつものトキヤの香りに汗の臭いが混ざっていた。流れる汗に、どれだけ私を探してくれていたのかと言うことが分かった。
名前を呼ばれると安心して、抱きしめる腕が心地よかった。







「ぅわぁああああ…あぁあ、うぅ…トキ…トキヤ。」


「はい、私はここに居ますよ。のえる…本当にすみません。」






子供の様に大きな声で泣いたのはいつ振りだろうか。
トキヤは私を抱きしめたまま、ポンポンと頭を撫でて私が落ち着くのを待ってくれた。
その間、トキヤもずっと私に謝り続けた。






どれくらい経ったのだろうか…先程まで曇っていた窓には雨が打ち付けて、ガラスを濡らしていた。
落ち着いてきた私は抱きしめていたトキヤの胸板から頬を離す。





「来てくれてありがと。」


「すみません。」


「トキヤ…謝らないでよ。」




さっきから謝ってばかりだ。原因は確かにトキヤにあるけれど、誠意は伝わってくる。トキヤの顔を見れば、今にも泣きそうな顔をしていた。






「ですが…貴女をまた傷つけてしまいました。」


「でも、ちゃんとこうやって助けに来てくれたじゃん。」


「のえる…」






また傷つけた…傷ついたのかな。
怖かった思いはどこかに消えてしまっていた。あの無駄に汗をかくことが嫌いなトキヤが、何も語らず怖い顔ばかりしていたあのトキヤが私を一生懸命探し出して、こうして抱き締めてくれたことが全てだった。

微笑んでトキヤの髪を撫でると、トキヤが少し頬を赤らめている姿が少し可愛い。
トキヤの唇に自分の唇を触れさせると互いの熱が伝わった。





「好き。」


「っ!?…のえる?」


「ごめん、でもトキヤが好き。」







言わないつもりでいたのに、言わずにはいられなかった。
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