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シャイニング事務所某会議室。
年末のスペシャル企画でST☆RISHとQUARTET★NIGHTのメンバー、作曲家の七海春歌、名前が集められていた。春歌と名前は久しぶりの再会なのだろうか、二人でピアノの椅子に座りながら綺麗な音色を奏でてはコロコロと笑っている。そんな2人の周りには自然と人が集まっていた。


「後輩ちゃん達の曲、嶺ちゃんすっごい楽しみ〜〜〜!」


嶺二が長い腕で並んだ2人を同時に抱きしめる。春歌が慌てながら顔を真っ赤にしているのとは対照に名前は「私も楽しみですよー。」とニコニコ笑っている。嶺二の大胆ともいえる行動にトキヤと翔、真斗が一歩引いたところでギョッとした表情で見ているのが印象的だ。


「レイジ、それセクハラだから。」


そこに割って入った藍は嶺二の腕を振り払うと、春歌に「大丈夫?」と声をかけながら名前の乱れた髪を手で整えていた。名前がまたふわりと笑うと、那月とセシル、音也がこぞって名前に曲作ってとせがんでいた。


「レディ達は人気者だね。俺も今度は是非、名前の曲が歌いたいな。」

「うん、是非。あ、でもこの前の春ちゃんの曲すっごくかっこよかったよ!」

「えぇ、あの曲はレンらしさが出ていて良かったと思います。」


レンが名前の手を取り、声を掛ければ同じクラス出身の面子が集まり話に華が咲いていた。
名前の笑顔を見ては周りがそれを愛でる様に優しく笑う。名前も見知ったメンバーの中でとてもリラックスしているように見えた。


「うんうん、さすが春ちゃんって感じでレンの低音が響くようなメロディで良かったよね。」

「俺もあんなカッコイイ曲歌いたいぜ。」

「翔ちゃんの色気想像できない。」

「翔、人それぞれ得手不得手があるものです。ですが、案外異色で新たなファン層ができるかもしれませんね。」

「なるほど。トキヤの言ってること、案外当たるかもよ。」

「じゃあ名前作ってくれよー!」


キャッキャと賑やかな輪の中、会議室の隅に設置されたソファーにドカッと座りがなら目配せする蘭丸がいた。どこかしら棘々しい雰囲気にさらに怒りを帯びた空気がそこに漂っていた。少し離れたところには興味なさそうに佇むカミュ。


「ふんっ。うらやましいなら貴様も混ざってはどうだ。」

「彼女は天然というか、別にあれをただのお友達のスキンシップにしか考えてないだろうから、ランマルが一人で怒ったところで意味ないんじゃない?他のメンツがどう思ってるかは知らないけど。」


蘭丸の様相に嘲笑するカミュと、いつの間にか輪から離れていた藍が冷静な判断を述べると、蘭丸が前にあったローテーブルを蹴り飛ばした。


「うるせぇよ!!!」


大きな音と、蘭丸の怒鳴り声に一同がそちらを振り向いた。名前も不安そうな顔をして「蘭丸先輩?どうしたんですか?」と駆け寄ったが、蘭丸が名前の顔を見ることはなく、舌打ちして会議室を出て行ってしまった。


「あの、何かあったんですか?」

「アヤツが子供のように不機嫌になることなど、理由は大体決まっている。」

「あーあ、ランちゃんってば、名前が皆に構われているのが気に食わなかったのかな。」

「確かに、先程から黒崎先輩のご機嫌はあまり良くなかったが、それは名前がピアノの前に座った辺りからだったしな。」


名前がカミュに事の発端を聞くと、カミュは面倒くさそうに言葉を吐き捨てた。まさか、と名前が反論しようとすると、すかさずレンと真斗が口を揃えた。
まさかと思いながらも、周りの皆が同様の反応から不安と戸惑いの色を隠せない名前が俯いていると、龍也が「お前等始めるぞー!」と言いながら蘭丸を引きずってやってきた。


誰にでもスキだらけ






※蘭丸とほぼ絡みない一話ですみません…
 

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