―嶺二―


「しよっか。」

「なっ…」


お風呂から出てくると、嶺二が優しく微笑んだ。
湯上りの男女がすることって言ったら想像するのは良からぬ妄想ばかりで自分が欲求不満だったのかと驚愕する程だった。挙動不審のままの私をクスクスと笑いながら近づく嶺二。腕を引っ張られて引き寄せられると頬にチュッと口付けされた。


「今何を想像したのか嶺ちゃんに教えてごらーん?」

「バカ嶺二!知らないっ。」


こういう時ばかりはからかうように翻弄されて、悔しい気持ちと恥ずかしい気持ちが入り混じる。腕を振り払おうとするとすっぽり抱きしめられて、「よしよし」と子どもあやす様にポンポンと頭を撫でられた。


「そういう反応すっごく可愛い。」

「…や、あの…」

「いい加減可愛がられるの慣れなよ。身がもたないよ?」


一生慣れる気がしないのは気のせいだと誰か言ってくれ…


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