しし座
おおくま座にうしかい座
そして、あれがおとめ座

他には……―――



毎晩、窓際から星空を眺める。別にこれといって星が好きとかそんなんじゃない。
ただ、眠れない…それだけの事から始まった毎日の日課。

だってほら…ただ眠れないでゴロゴロしてるよりは幾分マシでしょ?
今じゃ好きで見るぐらいよ。
お陰様で、今は星座も分かるようになったし、本当に時々だけど流れ星だって観れる。
そうしてる内に気付いたら朝。

風邪?別に心配ないわ…
だってね…―――



「おい、風邪引くぞ」
「あら?今日も一緒に星空鑑賞?貴方も毎日飽きないわね」
「無視かよ…ったく」


ふてくされながら窓際に寄り掛かる人物。


「ふふっ…ごめんなさい、冗談よ。でも、私が寝てたらダークがちゃんとベッドまで運んでくれるんでしょ?」
「………」


そして、今度は照れ隠しだろうか…ソッポを向いてしまうこの人物。
私は彼をダークと呼んでいる。

こんな言い方も可笑しいわね。
でも、初めて逢った時、彼は「名前が無い」そう言った。
夜闇に紛れ、月下に輝く銀髪の下には紅星。
こんなにも夜が、闇が似合う人が居るのかと目を疑う程彼は綺麗だった。


それは今も変わらない。


「何でオレの顔見ながらニヤニヤ笑ってんだよ…」
「ん?綺麗だな〜…なんて思って」
「はぁ?てか、星を見てたんじゃないのかよ?」
「星?星ならちゃんと見てたわよ。綺麗な紅い星を…ね、ダーク?」
「!〜〜ったくお前は―――」
「?!」


急に視界が真っ暗になる。
原因はダークに手で目隠しされたから…

いくら恥ずかしかったとはいえ、これじゃ本当に星空さえ見えないじゃない…なんて思った途端に出る欠伸。


「ほら、眠くなったならさっさと寝ろ!」
「でも星が見たいわ…」
「却下、寝ろ」
「見たら寝る」
「ダメだ」
「なら、見るまで寝ない」
「………はぁ〜…」


押し問答の末、最終的にはダークが折れる形となった。
意外と押しに弱いのだ。






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