暖かく静かな昼下がり。
何もする事もないので、木陰で横になれば暖かい光は意図も容易くオレを眠りへと誘っていった…と思われたが、


「ダークー!!」


それは、突然の来訪者により叶わぬものとなった。
実際、相手するのもだるいから無視してやろうと思ったが、それは許されず無理矢理起こされたので仕方なく起きてやると、満面の笑みを浮かべた***がそこにいた。


「##NAME1##…オレの安眠を妨害してまで何の用だ?」
「ん?実はね………」


悪気が有るのか無いのか、オレの隣に座り上機嫌に取り出したのはリボンで綺麗にラッピングされた小さな箱。
その箱をオレにくれたかと思うと、早く開けてみてと急かされる。少し勿体無いと思いながらも、リボンをほどいて開けてみれば、ふんわりと甘い匂いを漂わせるものが中にあった。


「…なんだ…これ……?」
「ダークは知らなかったけ?チョコレートって言って、甘くて美味しい素敵な食べ物よ」
「チョコレート?…てか、オレは甘いものは嫌いだと前に言わなかったか?」


甘いものなんて食べれるかと顔を背けると、***はうぅ〜と項垂れてしまった。
***にしては随分と項垂れたままだったもんだから、流石のオレも焦りを憶えてくる。


「……ねぇ、ダーク…」


そんな時に呼ぶもんだから、少しビクリとしながら何だと振り向けばいつもの悪戯に微笑む彼女の顔。また同時に、唖然とするオレの口の中へ何か入れられた。

多分…いや、きっとチョコレートだろう。持っていた箱の中のチョコが1つ減っている。
しかし、甘いという割にはそこまで甘過ぎず、ほろ苦さがある。


「へへ〜どぅ?結構美味しいでしょ。実は、ちゃんとダークに合わせて作ったんだから」


自慢気に微笑む彼女。


「じゃあ、私はそろそろ戻るね!実はまだやる事が沢山あってさ…」
「え、おいっ…!」


すっと立ち上がって服に付いた汚れを払うと、来た道を今度は逆に走り去る。
声を掛けるが止まる気配は無い。相変わらずマイペースな奴だと溜息が出る。

しかし、最後にそうそうと振り向き叫んではまた走り出す。









***が見えなくなってからまた1つ、今度は自分でチョコを摘まんで食べてみる。


「まぁ、たまにはこういうのも悪くない…かもな」


そして、***が去り際に残した言葉を思い出して、思わず耳の先まで赤く染まらせる。
そんな甘い甘い昼下がりの一時。






今日は大好きな人にチョコを渡す
素敵な日なんだよ!

(ったく、恥ずかしいことしやがって…)
(ふふっ、全部食べてくれるかな〜)





*Happy Sweet*
バレンタイン企画にて





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