カチャ、と音がして掛けていたサングラスが神崎の手に渡る。
緑がかった景色から鮮明となった景色は突然過ぎて眩しさに目を細めた。
「何勝手に外してるんだ」
「別にいーだろ」
「よくない」
返せ、と手を伸ばしたけど難なくかわされてそのまま空をきった。勢い余って手が机にぶつかってしまった俺に神崎は、だっせー、と呟きながらけらけら笑う。
そして唐突に、無邪気な顔にすっと被るそれ。
俺から奪ったサングラスを神崎が付けたのだった。
「なー似合う?」
「どこのチンピラか借金取りの下っぱかって聞きたいくらい似合ってる」
「……どーいう意味だ」
「お前には似合わないって言いたいの。
しない方がかわいい、よ」
「……馬っ鹿じゃねーの」
「馬鹿に馬鹿とは言われたくねぇな」
「いっぺん死ぬか」
「丁重に断ろう、ほらもういいだろ返せ」
「けっ」
素直にサングラスを外して俺の手のひらに乗せる神崎を見つめる。やっばりこいつは何もつけないほうがいいなと改めて思いながら、戻ってきたサングラスをかけた。
すると今度は神崎がこっちを見てきた。
「お前は、つけてろよ」
「は?」
「だからサングラスつけてろって、俺はやっぱそっちの方が好きだ」
外したお前もかっこいいけど別人みたいだから見慣れたお前がいい、それに似合ってるからかっこいい、なんて言ってくれちゃって。こいつはこれがどんな殺し文句かわかっているんだろうか。
「ククッ、ったくお前って相当俺のこと好きだよな」
「あ?何か言ったか?」
「何でもない」
「あっそ、」
――結局はどっちの俺もかっこいいってことだろ。
------------------------
ただ神崎くんに姫川のサングラスを取ってつけてほしかっただけです^^^^
あと無意識デレを……