※最近の本誌のネタバレを含むお話ですのでコミックス派はご注意ください
あの猛獣のような人間を捜してこの間やり合った場所をうろうろしていたら出くわした人間。
それはあの時無謀にも飛び出してきた馬鹿だった。
目の前でその猛獣みたいな人間がボロボロになって倒れそうになってるというのに、そいつよりも小柄なくせに庇うように立ち向かってきた馬鹿。
呆れる反面甘くみられている気がして腹が立ってぶち殺してやろうとしたが、別地点からの強大な魔力を感知したせいで結局できず仕舞いだった。
その仕留め損なった人間が今、目の前にいる。
これはいいチャンスじゃないか。目障りな人間を消せる、チャンス。
猛獣みたいな野郎ほど興味はないからはっきり言ってしまえばどうでもいいのだが、こいつは悪魔の俺に楯突いた。人間の分際で。それを思い知らせてやらなくてはいけない。
まだこちらに気づいていない人間の目の前に瞬間的に移動する。突然のことに驚き動きを止めたその一瞬の隙にそいつの首を掴んで壁に強く押さえ付けた。
「ぁ、ぐ……っかは、」
苦しげに顔を歪ませて咳き込む姿はいい。こういう顔を見るのは好きだ。自分が支配しているんだと、そいつを思い通りにしているんだと、優位に立っているんだとそう、実感できる。
さて、どう殺そうか。
どうせならこういう顔をもっと見たい。
ぐっと手に力を込めると、より一層苦しそうな顔をして呻いた。
「が、……っぁ、てめ、このあい……だ、の」
「おー覚えてたのか人間」
「っぐ、ぁ……くそ、やろっ」
「おっと」
首を掴む俺の腕に爪を立てていた奴の右手が俺を殴ろうと襲いかかってきたのを避け、空いていた片手でその奴の右手首を押さえる。
そうすると当然もう片方の左手でも殴りかかってくるのは予想出来たから、俺の腕から左手を離し振りかぶった瞬間を狙って絞めていた首を解放した。
「っげほ!」
急に送り込まれた空気に身体をくの字に曲げて激しく咳き込み喘ぐ人間。
その様子に口角を上げ、振りかぶったはずが力なく下げられた左手も手首を拘束して壁に押し付けた。
人間と距離を縮ませ足も使えないようにした。
ぜいぜい荒い呼吸をする人間を至近距離で見下ろす。
近くで見るとより小さい。
こんな身体でよくあの時出てこれたものだと、微塵もなかった興味がほんの少し、湧いた。
細い。本当に細い。
掴んだ手首は簡単に指が廻って、むしろ僅かばかり余る。力を込めてきつく握り締めると眉間に皴を寄せこちらを鋭く睨み返す。
生意気な奴だ。しかしその表情に、優越感に混じって別の感覚がぞくぞくと背筋を駆け抜けた。晒されている首筋に、無意識のうちに噛み付いていた。
ひっ、と引きつった声が耳元で聞こえたのにまたぞくりとする。
もっと、聞きたい。
どこをどうしてやったらまた声をあげるだろうか。
手首を具現化した魔力でひとまとめにして、空いた手で身体中を撫で回した。
やめろ、放せ、死ね、殺してやる、そんな言葉が人間の口から出てくる。そんなのは聞きたくない。焦っているのは面白いけど。
服の裾から手を入れて素肌を直に撫でると息を詰まらせ、俺の動きをじっと窺っていた目が揺れた。
これかとばかりにゆっくりと腰から胸元へと滑らせていくと奴の身体が大袈裟に跳ねる。
「っ、あ」
吐息と共に小さく声が零れ、それに顔を赤く染まらせる人間。さっきとは桁違いな程、ぞわりとあの感覚が身体を突き抜けた。
「これがいいのかよ」
「こ、の…ッ、へんた、ぁ」
触れる度に身体はひくひく震え、瞳には水の膜を張っている。噛み締めた唇からはやっぱり押さえきれない嬌声が漏れて、それが羞恥を煽るようでだんだん顔の赤みが増してゆく。
堪える表情も何もかもにそそられて、もっと、もっとしてやりたい、滅茶苦茶にしたい、と手は止まる気配がない。
殺すよりこっちの方が楽しいかもしれないと思い始めればもうそれにしか意識が向かない。
俺は人間に欲情していた。
ふつふつと沸き上がり熱く全身を駆け巡るあの感覚はまさしくそれだった。
よかったな人間、命拾いしたな。その代わりお前を犯すけどな。
「楽しませろよ?人間」
舌舐めずりをして人間の下肢を覆う服に手を掛けた。
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お待たせして申し訳ありませんでした……!!
色っぽい話とリクエストいただいたのですが全然色気の欠片もなくて、というか色っぽいを履き違えてる感満載でご所望の色っぽさとはきっと別物ですよね、あと悪魔は勝手にグラフェルさんをイメージして書かせてもらいましたが大丈夫でしょうか(;ω;)
遅くなったうえにリクエストに沿えてないとか、せっかくの素敵な内容を生かせなくて本当すいません、グラフェルさんに一人盛り上がって楽しんで書いちゃってすいません、グラフェルさん好きですいません
リクエストありがとうございました!