※WJ29号・バブ65のネタバレを含みます
リーゼントを下ろしサングラスまでも外した姫川は超絶美形なイケメンだった。
あまりにも違い過ぎる風貌に別人じゃないのかと疑ったが、声が姫川だと証明している。
これまで何度となく会話でも喧嘩でもやり取りしてきたのだから間違うはずはない。
「……っ」
初めて見る姫川の素の姿。
とにかく変わり過ぎていてぶっちゃけドン引きした。
どこをどうしたらそうなるんだよ!と思わずツッコみたくなるくらいの、リーゼントだった時の面影一つ見当たらない変わり様なのだから。
しかし見れば見るほどかっこよくて、何だか姫川の周りがキラキラ輝いている。
(嘘だ、姫川がこんなかっこいいなんて嘘だ……!!)
ドン引きした半面で、心臓がバクバク高鳴っている自分が気持ち悪い。顔に熱が上がっていく自分が気持ち悪い。
でも止め方なんて知らないから心臓はうるさいまま、顔はきっとすごく赤くなってるのだろう。
(どうした俺!!)
己の反応に自分自身がついていけなくてもうパニック状態だ。
そんな思考回路が壊れる寸前の俺が自身に近づく人影に気付けるはずもなく。
「神崎?どうした、顔が真っ赤だぞ。」
「!!」
間近で聞こえた声にびっくりしていつの間にか俯き地面を見つめていた顔を上げる。するとあのキラキラした姫川が正面にいた。
存外近い距離に、ボッ、と瞬く間に熱が顔へと集中し更に真っ赤になる。
もう限界だった。
「ってめーふざけんな!姫川はもっとこうモサッとしてヌメッて感じなんだよ!!帰れっ!!」
「こ、ここここんな姫川なんて姫川じゃないんだからなばぁーか!!」
ただ思いつくだけの言葉を一気にまくし立てて、そこから体育館の男子トイレに逃げ込んだ。
逃げるなんて情けないこと普段なら絶対しないが何せ限界を越えショートした思考回路、とにかくあの場から離れたくてたまらなかったのだ。
あいつに何を言ったかなんて覚えていない。
「くそ……っ」
入り口の扉に背中を預けてずるずるとしゃがむ。
まだ火照った顔とうるさい心臓の音が姫川を思い出させるから鬱陶しい。
(あーもう嫌だ)
あんなかっこいいなんて反則だろ。ふざけんな死ね。
深いため息をついて、とりあえずこの後どうするかを考えることにした。
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本誌が「神崎くんが姫川に恋をする」話だったので(違う
便乗してみました^^^^←
神崎くんのツンデレ全開楽しいです。
以下オマケ↓
(神崎逃亡後の体育館にて)
「すげー真っ赤になってましたね」
「動揺しまくってたわね」
「あはははは神崎くんてばもーかわいいなあはははは……っゲホ、ゲホッ」
「笑い過ぎですよ夏目先輩」
「ケホッ、だって……神崎くんあんな真っ赤になっちゃって、っあはははは!」
「…………邦枝。」
「姫川?どうかし……」
「ちょっと神崎の野郎やってくるから一時間くらい休憩しようぜ」
「えぇ!?何を、」
「あはは……はぁっ、休憩賛成俺疲れちゃった」
「だからアンタは笑い過ぎなんですってば!」
「姫ちゃんあんま神崎くんに無理させないでね〜」
「まぁ気をつける」
「……さっきも練習中断してたのに、っ」
「…………。(男鹿と古市もいねーし、もうそろそろバイトの時間だし、行ってもいいかな)」