邂逅


ジタンとバッツは周りや兵にバレない様にしながら追いかけていると兵士達はやがてその場所に止まった後に何か押したかと思えば扉が開いて中に入って行った。
二人は再び扉が閉じたのを見計らってその扉に近づいた。ジタンはそれを見るなり、嫌そうな顔をした。

「うげ、面倒な解除法じゃんか……」
「??どういう事だ??」

ジタンは只の壁を指す。バッツは意味分からないと言うと彼は

「これは、とてつもなく強い魔力で封じ込められた障壁が捩じ込まれた面倒なものなんだ……。多分、トランスしたクジャじゃないと解けない程の強力なものを壁から感じる。」
「ジェノムはそんな魔力を探知出来るのか?」
「お前、魔力強いくせに分からないのかよ!?」

バッツはちょっと視てみると言って、少し息を吐いたあとにジタンが指していた壁を集中して視ると確かにディスペルの問題では無いほどの強固なものだったが……

「なるほどなー………
ジタン、一気にトランスした状態のフリーエナジーで壁の魔力だけを吹っ飛ばせるかみたいからやってくれないか?」
「はぁ!?穏便に済ます気ないな!?」
「大丈夫。穏便に済むから。」

ジタンは仕方なくバッツの言葉を信じてトランスし、メイジマッシャーを出して自身の正面に水色のエネルギー波を放つとガシャンと何かが動く音がした。ジタンはトランスを解いたあとに扉に触れると扉が動いた。

「うわー……本当だ……こんな簡単に解けるんだな……」
「解けたのはジタンがトランスしてくれたおかげだぜ?」
「ん?何でトランス??」

と首を傾げながらジタンが聞くとバッツは彼にわかり易く説明する。

「あの壁は確かに、ジタンの言っていた通り特殊にコーティングされてたんだけど……
でも、その扉には弱点があったんだ。」
「弱点って……あんな強固な扉に?」
「ああ。あの扉には矛盾点が存在していたんだ。
どんな攻撃にも耐えられる魔法障壁にその障壁を緩和出来ないけれど、俺の言う矛盾点はその扉には強烈且つ凶悪な魔力の前では打ち消されるみたいなんだよ。
ジタンもトランスすると通常の倍の魔力を出せるだろ?」

ジタンがなるほどと言った。
トランスすると幾分かパワーアップする。それはもちろん魔力もパワーアップするために、フリーエナジーと指示したのもエネルギー波が魔力の為でもあった為にバッツはあえてそうしたのだった。
ジタンとバッツは扉の先へ行くと螺旋階段のようにぐるぐると下に下がっていて、真っ暗で灯されているのは足元のみ。そんな暗闇の中でジタンは言った。

「お前さー、魔法とか魔力強いのにあまり力使わないよなー?」
「そーか?俺自身そこまで力があるわけでもないんだぜ?」
「うわー、謙遜してるなぁ……」

彼はそう言いながらどんどんと螺旋階段を下っていく。バッツもそれに追いかけるように下っていくと声が聞こえた。
バッツはビクッとしながら小声でジタンに話しかけた。

「(ヤバいぜ、さっきの奴らが戻ってきた……!)」
「(ふふ、此処はジタンさんに任せて、お前はお前の目的を果たしてこい。)」

と言ってバッツの背を軽く叩くとバッツは頷きながら壁の影に隠れて足音を消して進んでいる間にジタンはわざとらしく声を上げた。

「あれぇー?此処は何処だ?お宝でもあんのかな?」
「!?誰だ!!」

兵たちはジタンに夢中で影に隠れているバッツに気が付いてない。ジタンはまたもやわざとらしく

「ヤベッ見つかっちまった!!とんずら!」

と言いながら駆けて逃げ出すと兵たちも駆けてジタンを追いかけて行くのを確認した後にバッツは急いで螺旋階段を下って行った。



* * * * *



バッツはとてつもない長さの螺旋階段を降りて数時間にようやく、一番下に辿りついた。

「(こんなに長いなんて思いもしなかった!!スポーツマンでもない限りこの階段は二度と昇り降りしたくないよな……)」

バッツは目の前の真っ黒な錆びている扉を開けると……
そこには金髪の少年いて、扉の開いた音に驚いたのか警戒した顔で振り返ってきた。

「……アンタ、誰っスか?」

姿は兵でもなければ見たこともない姿に少年は戸惑っているとバッツは先ほどの声に見覚えがあった……そう、彼は……

「あの雨の中で聞こえてきた声の主か……?」

少年を見たまま言うと少年は意味不明そうに首を傾げて

「は?俺は雨の神じゃないっスけど?」
「えっ!?でも、雨の中でお前の声が確かに聞こえたんだぜ!?」

バッツはまさかあの声の主に雨でもない神で結び付いた。

「もしかして、ザナルカンドの王子……ティーダなのか!?」



太陽神と言われがらも神殺しと恐れられた少年と記憶喪失の旅人の運命が大きく動かすとはまだ二人は知らない。



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