ミホーク成り代わり(成り代わりまとめ)ifゾロルート


「よう鷹の目ーッ! 元気にしてたか!」


 飛びつこうとしてきたシャンクスをひらりとかわせば、非常に恨みがましい目で見られたが「そんなところにいないで入ったらどうだ」と招けばシャンクスはすぐに笑顔になった。切り替えが早くて本当に助かる。ベックマンたちも招き入れ、一番広い部屋に通し、今ペローナとゾロが使っている部屋以外なら自由に使ってくれと伝えれば、シャンクスはまた馬鹿なことを言い出した。


「おっしじゃあおれお前の部屋ー」

「……馬鹿か?」

「ストレートな暴言やめろよなァ、いいだろ別に腹割って話そうぜ〜」


 久しぶりに会えた友だちときゃっきゃしたいのはわからなくもないが、こいつは常に修学旅行の気分だろうからあんまり関係ない気もする。普段ならまあ別に断りもしないのだが、今はゾロの修行をつけている最中だ。徹夜で酒飲んで酒臭いまま修行を見るわけにはいかない。


「悪いが今は修行をつけている。いつものようにはいかん」

「あー? 一日くらいいいじゃねェかよ」

「その一日で何かが変わるかもしれん」


 おれはまともに修行とかしてないからわかんねーけどな。そんな気がするというだけの話だ。そういえばおれってジュラキュール・ミホークという才能だけで生きてるんだよな……なんか世界の皆さんにごめんなさいの気分だわ。謝らねえけど。
 シャンクスは水をさされたとばかりにむっつりと不機嫌顔になっていた。ベックマンが小突くがどうにも機嫌が戻りそうもない。ふう、とため息をついていると開けたままだった扉をノックする音が聞こえてきた。振り返ればゾロの姿があった。あっちはあっちで不機嫌顔である。他人とかあんまり気にしそうもないというのに、ゾロにしては珍しい。


「どうかしたか」

「終わった」

「早いな。わかった、すぐに向かう」


 ゾロの不機嫌さは課題が終わったのに師匠がへらへらしてたからだろう。もっと強くなりたいという意識の強いゾロにとっては当たり前の感情かもしれない。
 せっかく来てくれたシャンクスたちには悪いが、ゾロとの約束はたったの二年だけだ。せめておれの弟子だと胸を張れるような力を手に入れさせてやりたい。可愛い弟子兼好きかもしれない相手なら尚更だ。


「そういうわけだ。適当にくつろいでいけ」

「おいおい、客人を放っとくのか!?」

「客人……?」

「ひっでぇなァ!」


 おれがお前らなんか客人じゃねーだろという顔をすれば、シャンクスは文句を言いながらも笑っていた。おれがふざけて言っていることがわかっているからだろう。そんな話もほどほどにして切り上げようとすると、何故だかシャンクスが着いてきた。首を傾げるとにんまりと笑った。


「おれも修行に付き合ってやるよ」

「お前も?」

「たまには違う相手と手合わせするのもいいんじゃねェか?」


 言ってシャンクスは刀を持ち上げた。隻腕の剣士と三刀流の剣士。戦いになればたしかに面白そうではあるが、それをゾロが了承するだろうか。強い相手と戦うことは素直に喜びそうだが、シャンクスだけは話が別のような気がする。なにせシャンクスはルフィの憧れの人でいて、ある意味最大のライバルだ。シャンクスを倒すべきはルフィで、ゾロが倒すべき敵はおれとなるはずだ。
 「あいつが了承すればな」と言いながら部屋に寄って刀を持ち、外に出るとゾロが素振りをしながら待っていた。本当に感心する弟子である。そしてゾロはおれを見て、そうしてシャンクスを見て不機嫌に顔を歪めた。


「なんでそいつがいるんだ」

「つれねェこと言うなよ、鷹の目の弟子! おれも混ぜてくれよ」

「……あんたも剣士か」

「ああ! 鷹の目とは長い付き合いでなァ、何度も戦ったことがある。今じゃ酒を一緒に飲む一番仲のいいダチだけどな!」


 ははは、とシャンクスが大きな声で笑う。おれは一番仲のいいダチという言葉にじーんと来ていた。マジか。シャンクスは友だちが多いだろうからおれが一番なんてことはないと思ってたが……いや、本当嬉しいわ。思わず口が緩むとシャンクスが目ざとく見つけてきて「あ! 今笑ったろ!」とまた笑ってくる。「笑ってなどいない」と一応否定してみるが、確信しているらしいシャンクスは人の顔を触りながらニヤニヤと笑ってくる。否定した意味はなかったようだ。


「おい、やるんならさっさとやろうぜ」


 ゾロはすでに臨戦態勢のようで刀を二本抜いて片方を口にくわえはじめていた。……あれちょっと待ってゾロキレてないか。目の前でおっさんがきゃっきゃしてたからか? ニンマリとしているシャンクスはするりと刀を抜いた。


「そうこなくちゃなァ……手加減しねェぞ」

「おい待て赤髪、殺すなよ」


 なんか知らんがシャンクスも本気っぽい雰囲気を出している。なんでだ。そんなに強い相手と戦うことに飢えてんのか? でもぶっちゃけ今の時点ではゾロがシャンクスに勝てる見込みはほぼないので、本気でやられたら死にかねない。しかし今の言葉が勘に触ったようで、ゾロの不機嫌さは増していた。いやいやいや、力量差わからないほどお前も弱くないだろ?


「ははは、殺したりしねェよ」


 今のはなんだろうか。殺しはしないと聞こえた気がする。もし何かあれば止めに入ればいか、とため息をついて適当な場所に腰を下ろした。う、うーん、もしかしてゾロとシャンクスって相性悪いのだろうか? 二人とも酒好きなんだから仲良くすりゃあいいのに。

シャンクスとゾロのキャットファイトに気付かないミホーク成り代わり(可能ならIFゾロルート)@匿名さん
リクエストありがとうございました!



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