趣味はあなた(短編)の続編


 ストーカーことローが恋人になって一週間、それとなくローに探りを入れたら同じ大学だということが判明し、そしてローのことを周りに聞いてみたらローという男を全員が知っているという事態が発生。おれの友だちでしょ? とさらっと言われて戦慄した。こわ。ローこわ。友だち曰くおれとローはずっと一緒の学校だったんだって? マジで? 本当に? 怖すぎるんだけど? 全然覚えないんだけど? かーちゃんにも確認取ったけど、かーちゃんですら覚えていた。オーマイゴッド。信じられない。


「おかえり」

「ただ、いま」


 家に帰ってきてローが家にいるのもちょっと慣れてきた。別に変なことをされるわけじゃないし、友達づきあいを規制したりはしてこないし、おれが他に好きな子でも作らない限りは包丁持ち出してきて殺そうともしないだろうから、そこまで気を張る必要はなさそうである。携帯の中身は見られるけど別に誰かに見られて困るようなものは入ってない。
 携帯をそのへんに置いといて、既に沸かされていた風呂に入り、出てくると料理が並んでいた。どこの良妻だよ……と思いつつ、一緒に飯を食う。いやこれがもう本当にね、すんげー美味しいんですわ。言うつもりがなくても「うまっ」って言っちゃうくらいにはおれの好みを把握していると思う。こえーよ。
 飯を食い終わって、ごちそうさまをして、それからローが食器を洗おうとしてたので、止めに入った。


「あのさ、おれそんくらいするし、風呂でも入れば?」


 いくらなんでも毎日飯作ってもらって食器まで洗わせて、というのはなんとも居心地が悪い。尽くしてくれるのはありがたいが、うちは全部かーちゃんにやらせるような家ではなかったので、たとえ相手がストーカーだとしてもそういうわけにはいかないのである。
 という気持ちで言ったのにも関わらず目の前のローはイケメンフェイスを真っ赤にして狼狽えていた。ヤバい。何か起こってはいけない勘違いが発生している。


「えっ、ふ、風呂?」

「……ちょっと待って違うぞ!? お前変な勘違いしてるだろ!?」

「ま、まだ付き合って一週間だし早いと思うんだが、ナマエが言うなら……」

「おれも早すぎると思うよ!! ってだから違うっつってんだろ! 労い! 飯作ってくれて風呂もわかしてくれてってしてくれてるから皿くらい洗うっつってんの! オッケー!?」


 ていうかお前とそこまで行く気はねェよ! と叫ばなかったので満点だろう。それを言ったら刺されるかもしれない。はあはあと荒らげた息をどうにか落ち着かせていると、ローはすこし照れたように「ありがとな」と言って風呂の方へ向かっていった。かーちゃん、いまのどこに照れる要素があったの……意味がわかんねェよ……。
 皿洗いをしてからソファでぐったりする。家の中にちょこちょことローの私物が増えたような気がする。ていうかあいつ、どこに住んでんだろ。医学部らしいし教科書の類も必要だろうから家には帰ってるっぽいんだけど、ほとんどうちにいんだよなァ……寝るときは居ないみたいだけど朝にはいるのだ。ていうかよく時間あるよな、ローのやつ忙しそうだ。


「もう住んじゃえばいいのに」


 どっちにしたってうちに来るのだから住んだって一緒じゃねェか。馬鹿なんだろうかあいつ。勝手に家に上がり込んで恋人面するストーカーのくせに、変なとこ律儀である。そのとき後ろで何か物音が聞こえた。びっくりして振り向くとローの姿があった。足元にはビールの缶が転がっている。


「お、おいロー? どうした? 大丈夫か? 足の上落としてねェか?」


 俯いていたローにそう問いかけると顔を隠してうずくまってしまった。なんだなんだと駆け寄ってみると小さな声で「マジでお前……馬鹿、好き」と呻いていた。あっはい……なんですかね、この人……ストーカーの考えは本当にわからない。ていうかお前おれの服着てんじゃねーか。着替え持ってきてねェのかよ!

ローで、趣味は貴方の続編てきなものをよろしければ。主の反応をデレだと勘違いして照れるロー美味しいです。@匿名さん
リクエストありがとうございました!



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