部屋で弟とプロレスしてたら兄が飛び込んできてこう言った。


「今日じじい帰ってこねェってよ!」

「本当かよエース!?」

「おっしゃー! 寝ずのゲーム大会しようぜ!」

「ばーか、おれとサボはじいちゃんの酒飲むんだよ! ゲームはおこちゃま二人でやってな!」


 とか言いつつどうせ一緒にゲームやるくせに、と思ったおれとは反対に、ルフィは自分とおれが弾かれたのを良く思わなかったようで仲間外れはよくないと兄であるエースに訴えていた。高校生だからダメとエースは笑っているが、大学生とはいえまだ誕生日の来ていないエースも未成年だ。ついでにサボも。お前らも駄目じゃんという目線を送って笑っていたら、いきなり飛びかかってきて技をかけられた。


「あ〜? なんだ兄ちゃんを笑いやがって!」

「いっててて!! おいルフィ、エース後ろから絞めろ! 今なら勝てるぞ!」

「おっ! エース覚悟!」

「馬鹿言うな、お前がおれに勝てるわけねェだろ!」


 エースはおれから離れてルフィの相手をし始めた。マジでどっちがおこちゃまなんだかわからないという話だ。解放されたおれはルフィのことを見捨てつつ、ドアを開けて部屋を出た。部屋の中から悲鳴が聞こえるような気がするが気のせいだろう。一階に降りてリビングに入ると、もう一人の兄の姿があった。


「あれ、エースとルフィは?」

「プロレスごっこ中」

「またかあの二人は。で、今日の飯どうする?」


 じいちゃんがいないこともあって今日はなんでも食べられるとばかりに、テーブルの上には色んなデリバリーのメニューが並べられている。おれはいつものことではあるがピザの気分だった。ピザのメニューを見ているとサボが「いつもお前はそれだなァ」と笑っていた。
 そんなことをしていたらエースとルフィが降りてきた。どうせルフィがおれに怒ることはわかりきっていたので、冷蔵庫の方まで歩いていって秘蔵のプリンを取り出した。それとほぼ同時に、リビングのドアが開いて二人が入ってきた。ルフィの方は案の定怒っているようだった。別に怖く何かないけどね。


「おいナマエ! おれのこと見捨てただろ!」

「まっさかー。可愛い弟のために労いのプリンを用意しといた。食っていいよ、今朝並んで買ってきたから」

「本当か!? ありがとうナマエ!」


 ちょっろ。思っていることがまた顔に出たんだろう。ごつんとエースに頭を叩かれた。エースだから置いていったのであって、もし他の誰かにやられていたらそんなことはしないので大丈夫なのに。とりあえず機嫌を取っておこうと「エースとサボの分もあるよ」と言えばサボは肩を竦めて笑っていた。

 おれたち四兄弟は、エースとサボが長男でおれが真ん中、そしてルフィが末っ子という奇妙な兄弟だ。エースとサボは双子なのではなく、同い年の他人の子。おれもルフィも別のとこの子。四人もいながら誰ひとりとして血がつながってない兄弟だ。じいちゃんと呼ばれる男はルフィの祖父で、他の子どもの親とかかわりがあって預かっているのだ。
 それを知ったの小学生のときで、何も知らなかったおれはあまりのことに驚いて、泣きすぎて吐いた。エースもだが、おれの血の繋がった家族はもう誰も生きちゃあいなかったのだ。エースもサボもそれを知っていたようで泣くようなことはなかったが、つられて泣いたルフィとげえげえ吐いていたおれを見て阿鼻叫喚だった。
 そのあとちょっとグレたようなそうでもなかったような、という感じだが、未だにそれからかわれる。おれたちのこと好きだよなァ、なんて。


「うっし、じゃあ飯食ってゲームするか!」

「なんだよエース、やっぱすんじゃねェか」

「やらねェとは言ってねェだろ」

「お、四人でゲームなんて久々だな」


 でも本当におれはこの家族が好きなのだ。傍から見ればおかしいことだらけだろうし、全員個性的だろうけれど、本当に大好きだ。「ふふふ」と笑っていると、三人が振り向いておんなじ表情で首を傾げた。きっとおれもあんな顔で首を傾げるのだろうと思ったら余計に笑えてしまった。

現パロでエースとサボを兄に持ち、ルフィを弟に持つ高校生で、うちの家族ってちょっと変わってるんじゃ…と思いつつ幸せだからまあいいか!な主人公お願いします!@匿名さん
リクエストありがとうございました!



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