元ネラーオタクのデリンジャー成り代わりのハロウィン話/ネットスラング等注意


 オッス! 俺氏二才ちょっと! もうすっかり言葉も流暢だよ! 最近の流行りはぬいぐるみを使った殺人鬼による虐殺ゴッコ! クソみたいな遊びだよ!
 で、まあそんなことは置いといてだ。知ってるか、ハロウィンっていうのはな、リア充のイベントなんだよ。おれみたいなエロゲ買いに行って死んだような元ネラーオタクがリア充なわけがないのは確定的に明らか。むしろ友だちもいねえよ……アホかよ……。そんなおれのハロウィンのイメージと言えば? そう、エロによくある“トリック・オア・トリートでの性的悪戯”ネタである。
 それをつい、口に出しちゃったんだよね。バッファローがベビー5に悪戯するって張り切ってたからおいおいお前そらあかんやろハハハみたいな感じで、


「現実で女の子に悪戯なんかしたら捕まるわよ」

「そこまでひどいことしないだすやん! 多分」

「きゃはは、キス程度でも十分捕まるわよ」

「えっ」

「えっ」


 ってなってな? そのあとどうなったかわかる? 答えはね、大人たちによる会議でしたーっ!
 おい誰だまだ幼いデリンジャーに変なことを吹き込みやがったのは、という若様とラオGとジョーラのお怒りによるものだよ。ちなみにおれから見ると完全にグラディウスとロシナンテも怒ってるよ! ロシナンテくん、きみはその心ちゃんと隠しとこうね! 子ども嫌いで通すんだろ!? 頑張れ!
 いやマジでそんなこと言ってる場合じゃなくてな。こんなことで会議してんじゃねーよお前ら悪役だろ、何まっとうな感覚でキレてんだよ、つーか犯人いねェんだよ、むしろ犯人はおれだよ、本当にすまんかった。だからおこんのやめよ……。


「お前が変なこと言ったからみんな集まってもめてるだすやん」

「こっちからすりゃあんたが言ったから話がこじれたって感じよ」

「二人ともどうしたの?」

「ベビー5はちゃんとお菓子持っておくのよ、変なひとに悪戯されそうになったら逃げなさい」


 べビー5には話は詳しく伝わってないので、というか伝えられるわけもないので、べビー5は首を傾げるばかりだ。会議の方はおれにはどうすることもできない。例え誰が犯人かとおれも聞かれても困るだけだ。たとえば雑誌見ましたとか言っても通じない。なんせおれ、文字読めないし。英語とか聞いてないですわぁ……ほんと無理ですわぁ……。ただいま英語お勉強中です。天才児として名を馳せる勢いだぜ!
 どうにか綺麗に話がまとまってくれることを信じつつ、人を疑う目というか絶望の淵に立つ感じの目をしているローの方へ向かっていく。


「ロー」


 声をかければ二歳児に睨みきかせる十一歳児。へっこのショタ生意気な顔してやがるぜ……おれは生憎おねショタは好物だ……あんまり生意気な態度取るとお前で官能漫画一本描くから覚悟しとけよ……!!
 口には出せない、実行もできないことを考えていたらつい手が出ていた。ファーッwwwwwww病気の子どもwwwwwwwぶっ叩いちゃったwwwwwwwマジごめん。


「何すんだてめェ……」

「ハロウィンなんだから子どもらしく楽しそうにしなさいよ。ってことでトリック・オア・トリート」

「はあ!? なんでおれがお前なんかにやらなきゃいけねェんだ」


 むしろこっちがはあなんですが? お前ハロウィンがそういうもんだって知ってんだろ? なのに菓子も用意してねえの? ふざけてんの?
 じろりと見ても菓子を出す気配は皆無である。お前、ドフラミンゴに菓子もらってただろうが。おれ知ってんだぞ? あ? 年下のおれに菓子寄越してもばちはあたんないよ?


「くれないなら悪戯するけどいいのね?」

「やれるもんならやってみ、いってェ! なにすんだよ!!」

「はんへふんふぁへほ?」

「わけわかんねェよ! 離せ!!」


 噛み付いてやったぜイエーイ! とはいっても本気で噛んだらローの腕くらい簡単にちぎれるので、さすがにそんなことはしない。まあちょっと穴くらいは開いたかもしんないけど血が出たら鉛も一緒にでんじゃね? よかったね!
 さすがに無責任すぎる考えがよぎったのだけれど、ローの血が口に入ったらヤバい……血に……酔う……。


「デリンジャー? どうしたの!?」

「やっぱりローの血はよくなかっただすやん!?」

「おい! 口から出せ!」


 三者三様の反応だけど、客観的に見ておれの様子がおかしいことは間違いないようだ。あ、マジでやばい。意識がぐわんぐわんしてきた。ふらふらする。血。血が。血が見たい。血が。血。血の。血の。血で。血。血が。


「血……」

「おい、デリンジャー?」


 襲い掛かりそうになって、頭を殴って慌てて自制する。やばいこれマジやばい。何度殴っても血の臭いが消えない。痛みとかそういうレベルじゃない。草も生やせないレベル。ああ、──血が欲しい。

 ・
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 意識が飛んで起きたら身体が傷だらけになっていた。どうやらおれが自分をとめるためにやっちまったらしい。噛んだことがばれてめちゃんこ怒られたけど、同時にドフラミンゴからめっちゃ褒められた。家族を守れるのはすごいやつだってな。どや顔しちまってすまん。


「というわけで噛んでごめんね。あんたの血美味しかったような気がするわ」

「……」


 謝ったというのに微妙な顔を作ったローに、まあおれが悪いことしたのはわかっているけどな。もう一度頭を下げたら、ぱん、と叩かれる。顔を上げれば突き出されたのはお菓子だった。お?


「やる」

「急激なデレに驚きを隠せない」

「あ?!」


 嫌だってそらそうだろ。びっくりしたわ。「ありがとう」と言ってお菓子を受け取った。ローはにこりとも笑わずおれを見ていた。

デリンジャー成り代わりでドンキホーテファミリーのハロウィンパーティ@匿名さん
リクエストありがとうございました!



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