恋人だしクリスマスくらいプレゼントでも渡そうかな、と思っていたら要件人間サボくんから「おれとお前でプレゼント交換するから選んでおいてくれ」と直接言われてしまった。多分この男にはサプライズという言葉は無縁だろう。サプライズになったとしたらそれは意図的に言わなかったからサプライズになったというだけで、驚かそうだとかそういう考えは絶対にない。あるとしたら悪意だ。サボくんってそういう人だよね、知ってた。いやこれおれの偏見二百パーセントだけどさ、どうせ買うつもりだったし問題ないんだけど、なんだろうな、このドキドキが一切ない感じは。いいんだけど。だけどって言葉が付く時点であんまよくないんだけど!
 それでもおれはサボくんのためを思ってクリスマスプレゼントを選んだ。プレゼントを交換したいと思ってくれる程度には好かれているんだし、小さなことをぐちぐちと引きずる自分に嫌気が差したためである。


「あ、サボくん」

「ナマエ」


 任務が終わって本部に顔を出したらサボくんがたまたまそこにいた。挨拶もそこそこに、というか挨拶らしいものは特になく、胸元からごそごそと何かを取り出した。あ、これプレゼントだ。


「サボくんちょっとたんま、取りに行ってくるから」


 先に渡されたら困る。ていうかおれがプレゼント持ち歩いてると思ってたんだろうか。任務先で粉々になったら困るんだからそんなことしないのに。普段恐ろしくきっちりしてるくせにちょっと抜けてるよなァ、サボくん。そんなところも可愛いんだけどさ……。
 部屋に行きサボくんに用意したプレゼントを持ち上げて、首を傾げた。なんだろうか。既視感。疑問の正体がつかめないままプレゼントを持ってサボくんのところに戻ろうと振り返ると、サボくんが後ろに立っていてビビッた。正直に言おう、心臓止まるかと思った。


「サボ、くん! いるなら言って! びっくりしただろ!」

「いる」

「それ遅い!」


 恋人が背後に立っていたことに驚いてクリスマスに心臓止まりかけるってどんな状況だよ。ため息をつきながらサボくんにプレゼントを突き出すと、サボくんもおれにプレゼントを押し付けてきた。


「あ」

「同じ包装紙だな」


 どうやら同じ店で相手のプレゼントを買ったらしい。なんだろう、地味に恥ずかしいな。その恥ずかしさをかき消すために包装紙を剥がして呆然としてしまった。……まったく同じ手袋である。色も形も、おれが選んだのとまったく同じ。違うのはサイズくらいだ。顔を上げてサボくんを見ると、サボくんも同じ顔をしていた。


「……お揃いになっちゃったね?」

「おれとお揃いなのが不満みたいな言い方だな」

「いや、不満じゃないんだけどさ、こんなことってある? すっごいびっくりした」

「それはおれもだ」


 頷いたサボくんは早速手袋をプレゼントしたものに変えて、「ありがとう」と頭を下げてきた。おれも慌ててこちらこそと頭を下げたら「じゃ」と手を上げてどこかに行こうとするものだから思わずサボくんの腕をつかんで引っ張っていた。そのまま唇を奪って「クリスマスだぞ、要件はそれだけなのか要件人間」とサボくんを睨むと、サボくんは今日初めて破顔した。

サボくんとプレゼント交換したら同じもので結果お揃いになった@匿名さん
リクエストありがとうございました!


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