ここは私の病室
私と吉良ヒロト君とで二人っきり
彼はいつも外で起きることを教えてきてくれる
外に出れない私に外への興味をもたせてくれる
そしてそんな彼の今日の話は
彼の夢についてだった

「俺さっ!プロのサッカー選手になるのが夢なんだ!!」
『そうなの?すごいね』

彼は嬉しそうにしゃべり始める

「俺さ、FWで俺のチームで一番強いエースなんだよ!」
『すごーい!ヒロト君ってサッカー上手なんだね!!』
「あぁっ!」

私は彼の笑っているところを見るのが好きだ
生きる希望を与えてくれる

「それでね!監督がさ!俺が後もうちょっと強くなったらFFにださせてくれるって!」
『えぇ!?FFってあの全国1を決める!?』
「うん、そうだよ!!んでね!もしね勝ったらにんじんさぁんっちゃんに聞いて欲しいことがあるんだ!!」
『え?今じゃだめなの?』
「えへへー・・駄目だよーん」
『もー!気になるじゃんかー!!』

彼は言ってくれようとはしなかった
まぁ、ヒロト君って約束とか規則とかは守る子だしなぁ・・・

『じゃあ、絶対勝ってね!!』
「おぅ!!って・・・ごめん夕飯の時間にはかえるように言われてるんだ!」
『ん?そうなのー?バイバイまたお話し聞かせてね』
「うん、じゃあねにんじんさぁんっちゃん」

彼は笑顔で私に手を振りながら
病室から出て行った

〜〜〜〜〜〜ヒロト視点〜〜〜〜〜〜

うわぁ・・・どうしよう、にんじんさぁんっちゃんにあんなこと言っちゃった
絶対に勝たなきゃなぁ・・・
勝って絶対に彼女に告白するんだ!!
ずっと好きだったって
そしてプレゼントを渡すんだ!

「君!!危ない!!!」
「!?」

キキィーーーーーーーーーーーーーッ
ドカンッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

それから何週間もたった
でもヒロト君はこないようになった・・・。

『はぁ・・・どうしたのかなヒロト君』

ため息をつきながらそんなことを呟くと
トントンッ
ドアをたたく音がした

『お、お入り下さい』
「お邪魔しますかな・・・。」

そう言いながら入ってきたのは
やさしそうなおじいさんだった
でもその人はとても切なそうな顔をしていた

「息子からこれをあずかりました」
『息子さん?』
「はい・・・ヒロトをご存知でしょう?」

どうやら彼はヒロト君のお父さんのようだ

「彼は・・・ヒロトは・・・1週間前交通事故で死にました」
『!!』

ヒロト君のおとうさんはなきながら
私に小さな箱を渡した

『これは・・・』
「それはヒロトがあなたのために買ったものです」
『私に・・・。』
「あけてみてくださ。」
『はい』

その小さな箱には私の指にちょっきりはまる指輪がはいっていた
シンプルでとても可愛い指輪が

「これはヒロトがもってる指輪のとペアリングになっているんです」
『ペアリング・・・。』
「死んだヒロトの死体にもこのリングがついています・・・。私はあなたがもっていてくれればヒロトもよろこぶだろうと思い持ってきました」
『ありがとうございます・・・・っありがとうございますっ・・・・』

私はヒロト君のお父さんに言われたことがまだ信じられなかった
でも信じるしかなかった・・・。信じるしか
私も彼の話を聞いてるうちに自然と涙がでていた

『私が・・・彼のためにできるかわかりませんが・・・。ありがとうございます・・・。』

そういうと彼は泣きながらもにっこり笑い病室から出ていった

ペアリング
(彼が最後にのこしてくれたもの)(私も後少しであっちにいくけど)(大切にするよ)










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