「よーし、行くよー!!」
「うん!いいよ!」
今日は私の必殺技の練習をしています。
しかも、天馬が練習に付き合ってくれることに。
私もサッカー部で、早くみんなの役に立ちたいから。
「よーっし、それっ……うぎゃ!」
「名前!!」
天馬にパスを出そうとしたら足を踏み外し転んでしまい、ボールは全く別の所へ転がってしまった。
こ、こんな筈じゃなかったのに…!
「だ、大丈夫?怪我は無い?」
慌てて天馬が駆け寄ってきてくれた。
「うん!だいじょ…痛っ、」
立ち上がろうとしたら思った以上に足を痛めていたみたいで、立ち上がれなかった。
「…ちょっとごめん、」
そう天馬が呟くと私の身体はフワッと浮き上がった。
これは…まさか、
お、お、おおおお姫様抱っこ!?!?
天馬の顔を見るとかなり距離が近くて、なんだか余計恥ずかしくて…硬く目を閉じてしまった。
ベンチに着くまですぐの筈なのに、なんだか時間が長く感じた。
「は、はい!着いたよ。」
「あっ、ああありがとう!!」
降ろしてもらってベンチに座ると、心配そうに私を見る天馬と目が合った。
「ごめんね…俺が居たのに、怪我させちゃって…。」
「そ、そんな!私が悪いから、天馬は謝らないで?」
「いや、俺の責任だから!!…今日はもう帰ろうか。」
送ってくよ、って少し悲しそうに言う天馬を見て私は申し訳無い思いでいっぱいになった。
気付いたら私はとんでもない事を口走っていた。
「…帰りたくない。
て、天馬と一緒に…居たい!」
えっ、と驚く天馬を見て、自分はなんて事を言ってしまったんだ、と後悔した。
俯いて涙を堪えていると、
「実は…俺も、一緒に居たいなって思ってたんだ…その、名前と。」
顔をあげて声のした方を見ると、そこには顔を少し赤くして頬をポリポリと掻く天馬が居た。
どこまでも優しい天馬に、涙が出た。
「わわ…!やっぱり足、痛い?」
「うっ…うう…違うの。ありがとう、天馬。」
「?俺は何もしてないよ?」
不思議そうに私を見る天馬が、すごく愛しくて。
でも、この気持ちを伝えるにはまだまだ勇気が足りないから、
もう少しだけ、このままの関係でいたい。
「これからも、ずっと仲良くしてね。」
「?もちろんだよ!変な事言うなぁ、名前は。」
大好き、天馬。