「…あ。」
学校に行く途中、道端に白い花が咲いていた
「可愛い…」
後で天馬にも見せてあげよう。
天馬は、私の好きな人。
そよ風みたいに優しくて…
とにかく大好き。
「天馬ー!おはよう!!」
「おはよう!なんだか嬉しそうだね。」
「んふふー、やっぱわかる?」
教室に入ると既に朝練を終えた天馬が居た。
天馬曰く信助は委員会の仕事があるらしく教室には居なかった。
「ねえ、部活終わってからちょっと見せたいものがあるんだけど…良い?」
「見せたいもの?良いけど、何それ?」
そう天馬が問いかけてきたので内緒!って言ったら不思議そうに首を傾げた。一つ一つの動作も私なんかよりも可愛いから少し悔しい。
「名前ー。まだー?」
ユニフォームから制服に着替え終わったらしく私が居るミーティングルームに顔を出した。
「あっ、はーい!今行く!!」
マネージャーの仕事でもあるデータの整理を終わらせ、天馬の所へ小走りで向かった。
・
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「あった!これこれ、この花!!」
「わあ、可愛いね!」
朝見た時は白かったけど、夕日に照らされてピンクオレンジに発色した小さくて可愛い花。
「朝見つけたんだ!素敵でしょ?」
「うん!
…この花、名前に似てる。」
なんで?って聞き返したら、
小さくても一人で頑張って咲いてるでしょ。って天馬が答えた。
「そ、そうかな…」
なんだか照れ臭くなっちゃって、あえて返事を濁してみたら、もう、褒めてるんだよーって苦笑いする天馬。
「名前が花なら、俺は水になるよ!」
普段ならこんな事言わないのに。なんだか今日の天馬は変だ。
それに、
「天馬は風だよ!そ・よ・風!」
「でも花は水がないと枯れちゃうよ」
雨でも降りゃなんとなかるよ!って私が言ったけど、どうしても水が譲れないらしく、
「じゃあ俺は水と風で一人二役する!」
って。
もう!分かってないなあ。
水だと、
一瞬で地面に吸い込まれてお別れじゃない。
そよ風だと、ずっと一瞬に入れるでしょ?
(やっぱりそよ風だけにしてよ!欲張っちゃだめだよ)
(もう、しつこいなあ名前は。)