今日は感謝の日!
普段お世話になっている人にお礼を言おう!
そう書かれた紙が階段の踊り場に貼られていた。ここだけではなくあちらこちらで貼られているみたいで今日だけで8回は見た。
「感謝ねぇ…」
授業も終わり、部活に参加するためにサッカー棟に行く途中だったけど思わず足を止めてしまった。
「せーんぱーい!!!」
「わわっ!?」
後ろから聞き慣れた声が聞こえた。その声の主は可愛い私の後輩兼彼氏の天馬。
「天馬!」
「先輩、来るの遅いから迎えに来ちゃいました!…あ、これ色んな所で貼られてますよね。」
天馬が貼り紙に指を差しながら言った
「今日、感謝の日らしいね。」
「おれ、名前先輩に手紙書いて来ました!」
糸くずと小さく折られた紙が天馬のズボンのポケットから出てきた
「へぇ!ありがとう!」
「おれが読むので、中庭に移動しませんか?」
中庭に来ると、いつもは人が多いのに放課後だからか、人は居なくて。ふたりでベンチに座ると心地よい風が頬を掠めた
「よし、じゃあ読みますね。」
「お願いします!」
私の言葉を合図に、天馬はガサゴソと手紙を広げた。それにしても、わざわざ手紙まで書いてくれるなんて…天馬は本当に良い子だな。
ほっこりした気分の中、天馬のお手紙の朗読が始まった。
名前先輩。
今日は感謝の日ですね!
普段からお世話になっている、名前先輩に手紙を書きたいと思います。
名前先輩、いつもマネージャーの仕事してくださって本当にありがとうございます!
雷門に入ってすぐの頃、黒の騎士団と試合した後に、おれの怪我の消毒をしてくれたのが名前先輩でした。
おれ、名前先輩に会えて、本当に良かったです!
これからも、後輩として、彼氏として。末長くよろしくお願いします!
松風天馬。
天馬からの手紙が嬉しくて、温かくて。途中から涙が出てきた。
「天馬…ありがと、」
「わぁ!泣かないで下さい!!」
「もう…!好き好き好き!大好き!」
「…先輩!お、おれも好きっ、大好きです!」
あまりの嬉しさに天馬に抱きつくと、天馬は驚きながらも抱きしめ返してくれた。
「そろそろ、部活行きますか?」
「うん!あっ、天馬…」
タイミングを見計らって、天馬の頬に軽く口付けをすると、顔を真っ赤にさせて慌て出した。その姿もまた愛しくて。
「せ、先輩!」
「ふふっ…」
たまには、こういうのも良いかもしれない。