「うわー!海だー!!」
ホーリーロードも終わり、今日は久々のお休み。天馬からのお誘いで海に行くため電車に乗っています。
長いトンネルを抜けるとそこにはエメラルドグリーンの海が広がっていて。
「沖縄の海はもっと綺麗でしょ?」
「すごく綺麗だよ!名前もまた連れて行ってあげるね!」
「…うん!」
連れて行ってあげる、だなんて。
深読みしすぎてどんどん顔が熱くなる。
「名前、顔赤いけど大丈夫?」
「っ、大丈夫!」
改札を出ると太陽がサンサンと痛いほど照っていて、ちらほら咲いている赤と黄色のハイビスカス。
「名前、ハイビスカスにはね、甘い蜜が残ってるんだ!はい、吸ってみて!」
ちゅーちゅーとハイビスカスの蜜を吸うと、甘くていい香りがした。
「おいしい!」
「そう?良かった!」
そこから道なりに進むと、さっき電車から見えた海が辺り一面に広がった
もうシーズンも終わりだから、人の数も少なかった
「じゃ、着替えようか!」
「うん!」
着替え終わってからも鏡で何度も何度もチェックし、更衣室を出ると既に天馬が待ってくれていた。
「ごめんね!待った?」
「…い、いや…全然…」
そうは言ったものの、天馬は中々こっちを向いてくれない。
「…やっぱ、怒ってる?」
「っ、違う!あの!水着、似合ってる…」
「えっ?」
勇気を出して言ってくれたであろう天馬が愛しくなって、ありがとうって言いながら、どさくさに紛れて天馬の右手を握ると、驚きながらも握り返してくれた。
いっぱい遊んだ後、じわじわと夕日が沈んで行く。名残惜しいけど…もう、帰らなくちゃ。
「なんか、帰りたくなくなっちゃうね。」
「ふふ、私もそう思ってた。」
二人で並んで座って夕日を見ていると、突然天馬に手を握られた
「てんま?」
「…今日、名前と来れて良かった…。」
「私も、天馬と来れて良かった!」
「また来年も再来年も絶対に来ようね!!」
「うん!約束。」
ゆびきりげんまん。
小指を絡めた後、夕日に照らされて、私達の影はひとつになった。