今日は天馬の部屋に遊びに来ています。


肝心の天馬はベッドに寝そべりながらサッカー雑誌を読んでいるので、退屈しのぎにテレビを点けると、ちょうどドラマが放送されていた。



同じクラスの茜ちゃんが毎週欠かさず観ているらしく、よく話題にしているから大体のストーリーは知っている。


今は、女性が男性に別れを切り出しているシーンが流れている。


チラッと彼氏である天馬に目をやると相変わらずサッカー雑誌を読みふけっていた。



「ねぇ、天馬…。」


「んー、なんですか?先輩。」



試しに声をかけてみると、間抜けな声が返ってきた。


なんだかムカついたので、すこしからかってみることにした。



「…別れよう?」



私がそう言うとしばらくの沈黙の後ズドドドッと大きな音と共に天馬がベッドから転げ落ちてきた。


「…せ、せせせ…せんっ…今の、本気ですか!?!?」


「…うん。私ね、拓人が好きなの。」


「キャプテンを…?」


勿論、これは嘘なんだけど。


しばらくボーッとドラマを観ていると、天馬に急に抱き締められた。



「嫌です!おれ、先輩と別れたくないです!!そりゃあ…キャプテンみたいにお金持ちじゃないし、頭も良くないし、格好良くないけど…でも、」


先輩を想う気持ちは、誰にも負けません!


そう言って天馬は本当に泣き出してしまった。


しくしくと泣く彼の姿を見て心が張り裂けそうなぐらい、ズキズキと痛んだ。



「うん、ごめんね…嘘だから、泣き止んで?」


「えっ…嘘、ですか?」


「本当にごめんね…。」


「うぅ、先輩のばかー!大好きですー!!!」



痛いぐらいに私を抱き締めるから、私もなんだか少し涙が出てきた。



ドラマの中の男女も、寄りを戻したみたいで抱き合っていた。

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