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――わたしは、生きるためにわたしを捨ててきたわ。
涙も、怒りも、喜びも全て。
らくになりたかったの。
らくに生きたかったのよ。
わたしは、わたしを捨ててしまえば、生き易くなることを知っていた。
周りのみんなの所望するような「わたし」を演じれば、呼吸(いき)をしやすくなると知っていたの。
どんなに怖いことも怖くなくなったわ。
だって、「わたし」は笑うことしか知らないのだから――。
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