(拍手ログ5種)
(★は絵が出ます。)
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「ねぇ、ナミちゃんはルフィのどんなところが好きなの?」
予想もしていなかった突然のロビンの質問。
この女部屋に私達以外誰もいるはずが無いんだけど、誰かに聞かれてないかと辺りをキョロキョロ見回した。
「な、な、いきなり何?」
「だってナミちゃんとルフィは恋人同士なんでしょ?」
「こ、恋人同士…。」
何そのむず痒い言葉。
「どうしてルフィなのかしらって思って、ね。」
「そ、それは、その…そう!成り行きよ、成り行き!だって、この船の上でしか生活してないのよ?まず出会いが無いじゃない。何でルフィなんて聞かれても、初めっから私に選択肢なんて無いのよ!」
思った以上に口が回る。
喋っているだけなのに背中に汗をかいてきた。
「そうなの?」
「そうよ!」
「でも、この船にはゾロだってサンジだってウソップだっているわ。
ルフィも勿論魅力的だけど、他のみんなもすごく魅力的じゃない?
どうしてルフィなの?」
「そ、それは…」
「それは?」
この顔は、知ってる。
このロビンの顔は私を困らせて楽しんでる顔だわ。
上手く交わしたいのに何も言葉が出てこない。
「それは、その…」
「ナミー!ロビーン!」
バターンと勢いよくドアが開いて、ルフィが飛び込んできた。
「メシの時間だぞ!サンジがお前ら2人呼んでこないとメシ抜きだって言うんだ、早く来い。」
タイミングが良いのか悪いのか。
何でこんな時に見計らったかのように、あんたが顔を出すのよ。
「あら、ルフィ。ちょうど良いところに来たわ。」
「ちょっと、ロビン!」
「ルフィはどうしてナミちゃんが良いと思ったの?」
「ちょっと!」
コイツにそんなこと聞いて、まともな答えが帰ってくるわけが無いじゃない。
でも、コイツはあっさりと言ってのける。
「そんなの決まってんじゃねぇか。航海士はナミじゃなきゃ嫌だと思ったんだ。
こういうの何て言うか、俺知ってるぞ。
“運命”って言うんだ。」
…ほらね、初めっから私に選択肢なんて無いのよ。
だって運命なんだもの!
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拍手A
この狭い船の中、
逃げ切れるわけもない。
みかん畑に隠れたって、鼻の利くアイツにあっさり見つけられる。
「ナミ、そこにいるんだろ?」
さく、さく、さく。
芝生を踏みしめる音が近付いてくる。
「こっち来ないでよ!」
「いやだ。」
怒ってるような、
いつもより少し低い声。
さく、さく、さく。
足音が止まる。
「ナミ、顔見せろ。」
「嫌よ。」
膝を抱えて、子供のように小さく丸く身を潜める私にルフィが言う。
さっきと変わらない厳しい声で。
「ナミ!」
「やだ!やめてってば!」
力でアイツに敵うわけもなく、私の抵抗なんて全くの無意味。
腕を引っ張られて、無理やり顔を上げられた。
「何で、泣いてんだよ…。」
「泣いて、ない。」
「泣いてるだろ。」
「泣いてないわよ!」
そんな嘘が通用するわけがなくて。
大粒の涙がボロボロ零れ落ちて、視界はもうグチャグチャで目の前にいるルフィが怒った顔してるのか困った顔してるのか、それすらもわからない。
ルフィに握り締められてる手首が、
熱い。
「何で1人で泣くんだよ!
泣くなら俺の前で泣け!」
「だって…」
だって、
あんたが死んじゃうと思ったの。
あんなにたくさんの血を流して。
すごく、すごく怖かった。
でも、もう戦わないでとか、無茶しないでなんて言えるわけないでしょ?
あんたの夢は無茶しないと手が届かないぐらい大きくて遠いから。
こんな弱い自分、嫌いなの。
こんな弱い私、嫌いでしょ?
「だって、だって、あんたが悪いんじゃない…っ。」
「…危ない目に遭わせて、悪かった。」
そうじゃない。
そうじゃないの。
私が死ぬことなんて怖くない。
あんたが傷付くことの方が、よっぽど怖い。
「ばか。…ばか。」
「ごめん。ごめん、ナミ。」
優しい言葉と同時に、乱暴に腕の中に閉じ込められる。
「ルフィのばか。」
「うん、ごめん。」
トクン、トクン、と規則正しく聞こえるルフィの心臓の音。
生きてる。
背中に回されてた腕が解かれたと思ったら、両手で頬を包まれて顔を上げさせられた。
ルフィの黒い瞳の中に、泣き虫の私が映る。
「約束するから。
俺はもっともっと強くなるから。
だから…頼むから、1人で泣くな。」
優しすぎるあんたが、私をもっと泣き虫にさせるんだ。
不器用に、私の涙を拭う指が愛しくて。
返事の代わりに、
その手を取って口付けた。
私も強くなる。
あんたの全部を受け止められるぐらいに強くなるから、だから。
あんたのそばにいさせてね。
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拍手B
キスしたら、
俺達何か変わるのかな?
唇をくっつける前と、くっつけた後で、
俺達どうなるんだろう?
薄く開いた桃色の唇が
僅かに震えている。
彼女を怖がらせないように、
できるだけ優しく唇を重ねた。
重なり合ってから気付いたんだ。
ビビってんのは俺の方。
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拍手C
「ナミ、キスしよう。」
あら、驚いた。
女を知らない猿かと思ってたのに。
いっちょまえにそんなことに興味持ったりするのね。
「ええ、いいわよ。」
簡単に了承したのは、
幼馴染みとの10年振りのキスを断る理由が特に見つからなかったから。
どっかの知らない男みたいに
すました顔のアイツを見るのが
何だか気恥ずかしくて、
目を閉じた。
いやだ、私ったら緊張してる。
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拍手D
まだ少し眠い。
夢の中でもう少しだけ微睡んでいたいのに、
私を呼ぶ声に起こされる。
「…なぁに?」
「俺、ヒマなんだ。早く起きろ。」
「もー、せっかく良い夢見てたのに。」
「どんな夢だ?」
「……教えなーい。」
「何だよ、ナミのケチー。」
夢の中でも、
あんたが今と同じようにキスしてくれてたの。
→★
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