俺は今、現在進行形で罰を受けている。





俺が臨也に許しをもらってから二週間が経った。再び臨也が傍にいてくれるようになってから、俺は気づいたことがたくさんあった。
たとえば、臨也が前よりもずっと魅力的に見えるとか、久方ぶりのセックスのとき、恥ずかしそうにしているのがたまらなかったとか、帰るなと引き止める度に破顔するのが愛しいだとか。まあ、あれだ、ただの惚気。
振り返れば最低すぎた俺を許してくれた臨也の愛の深さには、平伏さざるをえない。今なら、俺はあいつの愛に支配されてもいい。妖刀はごめんだが、臨也なら大歓迎だ。

が、いいことばかりでも――ないんだよな、これが。

誰もが知っているとおり、臨也は俺以外にも愛する存在がある。人間だ。俺は臨也曰く「俺の愛しい化物」らしいから特別枠っつーわけなんだけど、にしたってこれはさすがに気に入らねえ。

「臨也さん、正臣がね」
「あっ沙樹!なに臨也さんにチクろうとしてんだよ!」
「臨也さんこの間はありがとうございました、僕も園原さんも助かりました!」
「本当にありがとうございました……」
「イザ兄〜!ねーねーデートしようよ!」
「兄……好……」
「やあ、臨也!そろそろ定期診断の時期だから来てあげたよ。俺は君が心配なんだよ、静雄なんかに捕まっちゃってさあ」
「おう、臨也じゃねえか。ワゴン乗ってくか?前に行きたいって言ってたとこでも行こうぜ」
「あら平和島さん。折原はただ今席を外しておりますから帰っていただけます?もう来なくていいから」

……などなど。あいつは、人間は俺を愛してくれないと思ってるみてえだが、それは大いなる誤解だ。向けられる好意に、あいつはあまりにも無防備すぎるのだ。悲しいことに、臨也にちゃんと目を向けるようになった今、俺はいつ横から掻っ攫われるかと気が気じゃない。
けど、臨也がいつも恥ずかしそうに笑ってシズちゃんしか好きじゃないよと言ってくれるから、まあよしとする。誰にもやらねえ。臨也は俺のだ。


110123

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