「臨也……ここ、舐めていいか?」
ぐりっと頭を指で刺激しながらそう聞くと、臨也は驚いたのか身体を起こそうともがいた。そんな抵抗なんてもちろん何の意味もない。上体を少し倒してやんわりと体重をかけると、臨也が苦しいと訴えた。
俺だって苦しい。幾重にも纏った衣と混乱を極めている精神状態のせいで臨也にはまだ気づかれていないが、俺の下半身はかなりやばいことになっている。
「舐めたい、臨也」
「だっ、だめ……俺ちゃんと言ったから、もうやめてよシズちゃん……っあ、さ、触ら、ないで」
「あ?あー……そんな約束もしたな。うん、考えたぞ。考えた結果、やめねえ方向でいく」
「はぁ!?あっ、ちょっ、やだやだ!馬鹿!死ね!!」
手前をものにするまでは死んでも死なねえ。そんな矛盾したことを考えながら、臨也の首筋から胸を辿り、腹を舐める。さらにくちびるを下げたら、臨也の悲鳴じみた声が耳を貫いた。
少し申し訳なく思ったが、それより何より臨也に触れたくてたまらない。夢精を終わらせたばかりで自慰も知らない臨也の身体に、早く俺を刻みつけてやりたい。臨也と同じくらいに可愛くて綺麗な色をした性器をぱくりと食べると、臨也は本格的に泣き出してしまった。
「や、あっ……ふ、ぅうーっ……やだ、シズちゃん、そんなの汚い……!」
「汚くねえよ、甘いって」
べろっと舐め上げて、吸って、その度に見せてくれる色んな変化を一つずつ観察していたいが、正直俺だってもうかなり限界だ。何年待ったと思ってる。無防備な寝顔を眺めながら、何回抜いたと思ってんだよ。
「あ、あっ、あああっ……や、シズちゃん、シズちゃ、……なんか、あっ、で、出る……なんか出る……やだ、口離して……っ」
声が高く悩ましくなるのに合わせて、愛撫も強く激しくした。自分がどうなるかわからないのが怖いのだろう、泣きながら頭を振って花の顔をぐちゃぐちゃに歪める臨也はとても憐れで愛らしかった。この手でぶち壊したくなるくらいに。
「出せよ。飲みたい」
「ひっ、しゃ、しゃべ、ら……あっ、あ、ゃあ、だめ……シズちゃん、シズちゃん……あーっ……!」
助けを呼ぶみたいに俺の名前を叫びながら、臨也はイった。ごくりと喉を鳴らして飲んだ臨也の精液は、どことなく甘い気がする。舌の上で転がしながら、少しずつ少しずつ喉の奥へ。臨也の一部だったものを飲み込むことに、言いようのない興奮を覚えていた。
自慰よりも先に、他人の手でイかされた気分はどんなものだろう。呆然としている臨也の涙に濡れた頬を撫でて、くちづけを落とした。
「臨也、気持ちよかったか?」
「あ……わ、から、な……」
「そうか……もっととろとろにしてやりてえけど……ごめんな?俺が限界」
「え……えっ、な、に!?」
丸くてまだやわらかい尻を割って、小さな穴を指でくすぐった。ちょっとこれは狭すぎるような気がする。片手で帯を解き、完全に勃起している自分のものを取り出して、臨也の穴と見比べた。
……入れたら、裂けるんじゃねえのか。でも入れてえし。そのまましばし悩んでいた俺の下半身を見た臨也が、涙で潤んだ瞳を丸くして首を傾げた。
「……大きい……」

ぷつん

「えっ、シズ、シズちゃん……!」
なにかが切れた音がした。それは、聞き慣れた堪忍袋の緒の音ではなかった。理性だとか我慢だとか、たぶんそんなものが崩れ去った音。やわらかい太ももを掴んで押さえつけ、臨也の穴に舌を這わせた。
「ぁ、うそ、嘘だ、やめて」
しゃくりあげる臨也を可哀相だと思う気持ちと、もっと淫らに泣かせてやりたい気持ちとがどろどろに溶け合って混ざってゆく。渕の皺を広げるようにぴちゃぴちゃと音を立てて舐めると、臨也が俺の髪を掴んで引っ張った。
舌をすぼめ、固くて狭い穴をこじ開けるようにして臨也の中に入れる。入口も中も狭くてきつくて、ほんとに俺のが入るのか疑問だ。臨也はきっと気持ち悪いのだろう、髪を掴む手の力は強くなるばかりだった。痛くはない。俺は頑丈だし、何より臨也がしてくれるなら、なんだって愛しかった。
「いや、やだ……汚い」
「ん……汚くねえよ、可愛い」
ずる、と舌を引き抜いて、その辺にあった明かり用の油を掴んで指に絡め、臨也の穴を撫でた。反射的に閉じようとする脚を開かせて、人差し指と中指を潜らせる。途端に、臨也の喉から引き攣った悲鳴が上がった。
「っ……い、たい……痛い、よ……嫌だ、ぁ」
「あーやっぱ痛ぇか?」
舌をちょっと入れたときだって狭くてきつかったそこに、指を二本突っ込むのはやはり飛ばしすぎだったのだ。とりあえず中指を抜いて、人差し指だけを入れてみた。顰られた顔にくちづける。
「あ、ぅ……気持ち、悪い……っ」
臨也の中はあたたかくて、きゅうきゅうと指を締めつけてくれた。俺のを挿入したときを想像して、ごくりと生唾を飲む。もうやばい。なにがって、もうあれがはちきれそうで。
「臨也……もう我慢できねえよ」
「え……っえ?え、や、シズちゃん……?」
尻の間にこすりつけるようにしてぬるぬると性器を滑らせると、臨也の顔がさっと青ざめた。賢い臨也には、わかってしまったのだろう。俺がこれを臨也にぶちこみたがっていることを。
「シズちゃ、ん……ねえ、無理、だよ……お、俺のお尻、壊れる」
「やってみなきゃわかんねえだろ?」
「……っ」
臨也はがちがちと歯を鳴らして震え始めた。余程恐ろしいのだろう。ここまで怯えた顔を見るのは、いつだったか鳴神がひどかったある夜以来のことだ。
「痛いのは、やだ……したら許さない、絶対に許さない、口きかない、出てく」
「んだと、コラ……いーざやくん?出てったとこで行くとこなんてねえだろうが。野垂れ死にてえのか?他の誰かのもんになるのか?俺から離れて?……させるわけねえだろ」
「ん、んんっ」
呼吸もさせない勢いでくちびるを吸って、開かせていた脚を閉じさせた。すべすべしたやわらかい太ももの間にいきり立ったものを突っ込んで、前後に揺さぶる。皮膚が擦れる感覚がたまらなくて、腰を動かすのを止められなかった。
「あっ、あ、んっ」
くちびるを離すと、臨也は可愛く鳴き始めた。脚を押さえたまま体重をかけ、俺のと臨也のが重なるような体勢に持っていく。俺の先走りが臨也の綺麗な肌を汚していく光景に、背筋がぞくぞくした。可愛い臨也、俺の臨也。お前はもう――俺のもんだ。
「あっ、ああん、ああっ……しず、ちゃ……シズちゃあん……」
「っは、いざや、臨也……可愛い……」
とろんとした目で俺を見る臨也に全力で煽られながら、俺は快楽を知ったばかりのガキのようにただ腰を振り続けた。
つっこみたい気持ちは山々だが、本気で泣かれるのも絶交されんのもごめんだ。でも次は絶対に骨の髄まで犯してやる。あまりにも物騒な誓いを立てたのと、射精したのはほぼ同時だった。





次の日、泣いて伏せって「嫌い」「死ね」を繰り返す臨也をあの手この手で宥めるのにずいぶんと骨を折った。腹減ってるだろうと思って、餅を食わせてやろうとした手に思いきり噛みついてきたのは実に臨也らしい。
何にせよ、これで晴れて臨也は俺のものだ。とりあえず一日でも早く処女を奪いたいものである。


110221

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