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hank you☆clap
今年の風は、うすら寒いな。
そう思って、思わず笑いが零れてしまう。
だって『今年の』だなんてさ。
毎年、6月24日には、こうしてシリウスの甲板で私の宴を行ってくれる。
もう、今日で何回目の、宴になるんだったかな?
そう思い、指を折って数を数えていたが、その手を止めた。
…うん。回数とか、大切なことはそんな事じゃない。
こうして、この人達とまたバカ騒ぎができたって事が、どんなに奇跡な事か知ってるのにね。
血なまぐさい海賊家業だ。
誰一人欠けることなく一緒に酒を酌み交わせるだけで幸せな事じゃないか。
そして、幸せといえば――…。
宴の間にすっかり眠ってしまった彼女の寝顔を見ながら、もたれかかった彼女の体温と寝息にこの上ない幸せを感じる。
彼女とは、様々な事があって、長い年月を共にしてきた――…。
その度に、心の奥に温かい感情が溢れ、何気ない日常がこんなにも愛しいとさえ思うようになった。
「また一つ、年を重ねられたよ。」
誰に対して言ったのか、自分でもよくわからない。
彼女に?
シリウスの仲間に?
それとも失った家族に?
あの島の人々に?
――… もしかしたら、全員にかな。
今年も
ここで出会えた皆に、お礼が言いたかったのかもしれない。
ありがとう。
俺は元気だよ。
こうして、大切な仲間と、愛する人と、紺碧の海をまだ航海しているよ。
まだまだ旅は続きそうだ。
諦める事を、止めたから。
こんな幸せを知ったんだ。
貪欲にだってなるだろう?
そう。
やっと
生きていきたいって、思えるようになったのだから――…。
今年の風はうすら寒い。
さんざん宴で酒を飲んだせいで、甲板でごろ寝している彼らに毛布を掛けて回り、俺は、彼女と一つの毛布を半分こにした。
マストに寄りかかりながら、うっすらと明るくなっていく水平線に視線を送る。
生まれたての太陽が、水面を照らし始める様を目を細めて見いやった。
今日が、始める。
何気ない一日だけど、そうじゃない。
特別な一日を、また重ねよう。
君と
皆と――…。
end
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