「…お疲れ様」
「……うん………ありがと…由良……」
髪を乾かし終わり、私はそのままレンに抱き着く。
シャンプーの匂いが強くて、レンの匂いが薄くなってるのが寂しい。
肌から直接伝わるレンの体温は、お風呂から上がったばかりなのに低かった。
「……怒られたんだ……今日…」
「うん」
「……オレ…さ………頑張って直そうとしたんだよ……」
「…うん」
「…でも…っ……ダメだった………」
「レンは…一生懸命頑張ったんでしょ?」
「……当たり前だよ…」
「じゃあ、いいじゃない。
レンが頑張ってるのを知ってる人はたくさんいるんだから」
「………由良も…?」
「もちろん。
私が一番分かってるよ」
「……っ……っく………」
そういうと、また身体を丸めて泣き出す。
私は体温の低いその身体を包むように抱きしめなおした。
私の小さな身体では、レンの大きな背中はすべて包み込めないけど、今はそうするべきだった。
レンは頑張ってる。
昔からそう。
人一倍頑張ってるんだ。
人に認められるように…
自分が一人じゃなくなるように…
だけど、それが結果として認められなかったりすると、崩れてしまう。
それほど、レンは壊れやすい存在なんだ。
周りに居た女の子達は誰ひとり気づけなかったんだ。
あんなにレンに付き纏ってたのにね。
おかしな話だ。
「今日も頑張ったね、レン」
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