僕は兄さんのボールを受けるように努力します。
僕は兄さんについていきます。
僕は兄さんの事を尊敬しています。

僕は「あかつきの猪狩」の弟として恥じないように。
僕は出来の悪い子ですからもっと必死に練習をして。
僕は兄さんに縋り付かなければいけません。

僕は奢らず謙虚で。
僕は作り物の笑顔で。
僕は決して兄さんの名前に傷をつけてはいけません。

僕は駄目な子なので兄さんのような素敵な人が投げるボールを受けることができるように陰ながら努力しなくてはいけないのです。
僕は兄さんになにかあったときサポートできるようについていきます。
僕はそんな兄さんの事を尊敬することが義務なのです。

兄さん。
兄さん。
大嫌い。


大嫌い。大嫌い。誰も僕を見てくれない。
偏見だ。僕はここにいるのに。
孤独だ。みんな僕を置き去りにして。
苦しい。僕の取り柄なんて馬鹿みたいにやった野球だけなのに。
だったらいっそ仮面のような張り付いた顔で。
誰も知らない世界で野球に魂を捧げてしまいたい。
僕を見ない世界を見ないようにしてしまいたい。

僕の立つこの世界には絶望しか存在しない。










「あ、進くんのお兄さん」
「君、進の知り合いか!?弟が病院を抜け出して行方が分からないんだ!」


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -