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ひとりきりだった誕生日は好きじゃない。僕をひとりきりにしたクリスマスも、好きじゃない。いや、二十年間積み重ねた孤独の産物はきっとすべて、すべて嫌いだったのだ。
好きになったのは、たったひとり、彼だけのつもりだった。気づけば彼と過ごしたすべての時間を愛していた。相棒として隣にいた時間も、恋人として隣にいる時間も等しく、僕を優しく包んでくれる。

「知ってます? 今日で一ヶ月なんですよ、僕たち」

好きになった初めての記念日は、なんだか照れくさくてこそばゆい。一ヶ月前の今日の日を、彼は覚えているだろうか。僕の肩に頭を預けて眠っている彼の頬をつつけば、バーナビー、と小さな声をこぼした。あのときもこんな風に、名前を呼んでくれた。

「……虎徹、さん」

覚えていたなら嬉しいとは思うけれど、忘れていたならそれでもいい。それはきっと、この日のことを忘れるくらい他の日も幸せだったという何よりの証明だ。

「ありがとう。あいしてます」

ずっと守りたい、愛したい。強い願いを込めて指を絡めれば、きゅうと握りかえされた。
僕が触れて彼が触れて、そうして確かな熱を分かち合う。一ヶ月前も、今も、そしてこれから先も願わくば永遠に。


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