私の脳内には悔しいと言うそれしかなかった。

隊士である私は男のふり、所謂男装を図っていたのだが今日それは意味を持たなくなってしまった。
平隊士が私を取り囲む。

それらの目には性欲を満たそうとするそれしか映っていない。抵抗する。しかし、ただでさえ女と言う弱者の立場にあるのに相手は複数いる。
一人が私の腕を掴むと壁に追いやった。

そして衿を乱暴にこじ開けさらしを取り外す。

「やめ、て・・・やめて!」

「うるせぇ!黙ってろ」

思いっきり頬を殴られる。もう、嫌だ。
怖い、だれか助けて・・・。

涙をぼろぼろと零す。
その間にも男どもは性欲を私へと押し付ける。胸の飾りを刺激されて私の声とは思えない程艶やかな声が出る。
ぐっと口を噤むと口づけられ無理矢理舌を侵入さられた。


悔しい、
いやだいやだいやだ
そう思うと余計に涙が流れる。

「ねぇ、何してるの?」

冷たい声がこの周辺に響いた。男たちは動揺したように行為をやめる。
何がどうなってるのか分からない私はポカンとした様子でそれを見ていた。

「ち、違います」
「こいつがこういうことを望んで・・・」

「ふーん、でも悲鳴が聞こえたんだけど」

あれ、僕の気のせいかな、かたんと首を傾げていて、口調や声で沖田組長だとすぐに分かる。


「ま、どっちでもいいや。切ってもいいよね」

ぞわりと背中に悪寒が走る。彼は笑いながら抜刀して次々と平隊士を切り捨てていく。
私は返り血を浴びた彼をじっと見つめる。

「何してるの、ほら早く服来て」

返り血を乱暴に拭って沖田組長は服を着せてくれる。堪らなくなって私は彼の首に抱き着いた。



闇夜をも切り裂く
(ねぇ、抱いちゃってもいい?)
(え!?)

(冗談だよ、ほら早く部屋に戻ったら?)
(あ、ありがとうございます!)

20100813