質屋の長い日々
ラビリンスシティが生まれ変わってから一年。
あいかわらず質屋で働いている若者こと、ポッチ・ステーションです。
店は朝早くから夜遅くまで、いつでも売ります買いますをモットーに営業中。そして俺は、いつでも店番中。
相変わらず人使い荒いねマッタク。
ある日のことでした。
俺が壺を磨いていると、花売りのねーちゃんとヤギを抱えたオバサンがやってきました。
後から、しょんぼりと肩を落としたオジサンが、怒られながら歩かされていました。
聞けば、オジサンがまたなんかをやらかしたようでした。
なんでも、花売りのねーちゃんのメガネを売っぱらったとか。
「この店は盗品も受けつけているんですの!?」
拳を握りしめ、ねーちゃんは怒鳴ります。
その右手でカワイソウな状態になっている花……だったと思われるハゲたそれって、ひょっとして売り物なんじゃないの?
なんて、恐ろしくてツッコめません。
「スイマセン、旦那は留守です。俺にはワカリマセン。ええワカリマセンですとも」
止めた俺を無視して買い取ったのは質屋の主、ハッチさんです。
あれから俺も力をつけて、“ハッチとポッチ・ステーション”なんて呼ばれるようにもなりました。けども、そのセキニンは取れないのです。
店長、今後オジサンから品物買うのやめましょう。ホント頼むから。
わいわいと騒ぐミナサンを背にしながら、俺は心の中でナゲきます。
そしてまた天を仰いで思いました。
―――降参、とね。
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