諦観のスティル


毎日ボクシングジムの前を通る。
いつも練習をしている人がいる。若い人。男の人。
あと3年後に世界が滅亡するというけれど、そして信じていないというわけではないけれど、私は変わらなかった。
ある人は、やりたいことがあると言って仕事を辞めた。
またある人は、自分のタイミングで決めると言って生活を止めた。ここから逃げた人もいる。

みんな、能動的だなと思う。

私はいつもの通り、そこそこの日常を送っている。
やりたいことはあったけれど、それを実行するほどには行動力がなく、かといって今の生活を捨てるほどには決断力がなかった。
満足感とは違うし、不満は少ないが常にある。このままじわじわと、真綿で首を絞めるようにゆっくりと、ただ死んでいくのか。そう思うと、やらなければいけないことがあるような気がして焦ることもある。
どうせだから挑戦してみたい気もするし、安心感に留まりたいとも思う。この習慣は今まで私を形作ってきた。知らない物事というのは不安である。

そして結局、褒められたものではないのだろうが、長年の習慣を断ち切らずにいる。まあまあの状態のまま。ボクシングの大会がなくても練習を続ける彼は、日々をどう思っているんだろう?
きっと好きなことだから、毎日楽しいのだろう。はじめはそう考えていた。
けれど、今の私にはなんとなく、彼も同じなんじゃないかと思えた。

未来の希望はないが、今を変える勇気もない。
あるのは、過ごしてきた過去のパターンだけ。それもあと3年で終わるの。


(生きてないのかもしれない。けれど死にたくない)

*|#


[list/book top]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -