贈り物の国[1/7]
【 贈りものの国 】
−Congenial heart−
「ようこそ旅人さん。とても良い時に来ましたね。明日はクリスマスです」
「クリスマス?」
キノと私は同時に、でもまったく違う意味を込めて言った。
***
そこは“クリスマス”がある国だった。
クリスマスというのは、私がいた国にあったにあった宗教行事の一つだ。
なんか偉い人の誕生日だとか記念日だとか、実はよくわかっていなかったけれど、毎年楽しみにしていた。
辺りはぴかぴか光る電球で飾りつけられ、お店はとびきり安くなる。
普段よりも少し豪華な食事をして、ケーキを食べる。この時期のケーキはとてもおいしい。
親しい人には、贈りものをしたりする。
とにかく国中が華やかで、ふわふわした雰囲気に包まれるのだ。
そして、私はその雰囲気が大好きなんだ。
ホテルに着いてもハテナマークを飛ばしているキノに、私はクリスマスについて説明した。
わかった?と聞く私に、キノはわかったと答え、
「つまり、買い物にぴったりだ」
と言った。キノらしい答えだ。でも伝えたいのはそこじゃないんだけれど。
苦笑していると、エルメスが
「キノはフードがないなぁ」
と言った。今度は私がハテナマークを飛ばして、キノが言う。
「……ムード?」
「そうそれ!」
そして、エルメスは黙った。
***