▼ 旦那様のフライトナイトが終焉(not夢)


一日の終わり。今日も無事に生き延びたという安堵の息と、今日も無事に生き延びてしまったという嘲笑が漏れる。目を閉じれば浮かぶいつもの光景。眠らずに済めば、どんなにか救われることだろう。心がどんなに明日を拒もうとも、人の体は休息を欲する。そして繰り返される、あの日の惨劇。
機械を弄るのは癖になってしまった。単調な作業、一定のリズム。歯車を合わせてネジを締めれば、定められた通りに動き出す。組み込む間は無心でいられる。運命の荒波など何とも感じないような顔で、こいつはただ使命のままに行動するのだ。

全て終わった後、私は整えられたベットを見た。自ら進んで眠りに着くのは久しぶりだった。明日の行動を考えずに、夜明けを迎えるために眠る、最初の夜だ。
眼前に流れたのは、若き頃の自分だった。彼女と楽しそうに笑いあって、恐怖も怒りもなく考古学を見て、幸せに目を細めた、あの日々の記憶。
翌朝。目が覚めて私は言った。夢を見るのは久しぶりだった。はじめて、自分のために食事を摂りたいと思えた。

「よかった。私はまだ覚えている」



『労りの再会』
---------------

彼は気絶するように寝て、起きたら(体が活動できるようになってるから)また再開というのが多かったんじゃないかと考えています。機械に油を注すように、体に休憩や栄養素を与えるというイメージ。
寝るたびに苦痛を味わうのも、起きてから幸福が幻だったと突きつけられるのもどっちも辛いんだけど、それ以外には無しかなかったのではないかなーとか。
だから今日が永遠に続いてる感じで、終わってからやっと“次の日の朝”を迎えられたのかなとか思います。



prevnext



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -