久しぶりに某魔法大国の言葉を使って
挨拶をしてみればでかい女、稲宮苑芭は鷹廣のほうへと向かう。
鷹廣はいつも皺を寄せるだけの表情をニヤりと笑わせて
くわえていたタバコを地面へと落とした。

「未成年だろ」
「残念、僕これでも20歳はとっくにすぎてるんでねッ」

チッと舌打ちをすれば鷹廣は稲宮の方へと駆ける。
稲宮は武器を出す時間がないと判断したのか彼女も走り出す。

右手に左手、右足に左足。
次々と鷹廣素早く動かしていけば、それに若干の遅れをとりながらも
稲宮は全て防御していく。
と、不意に稲宮が鷹廣が繰り出した右手を左手でつかむ。
そしてそのまま引っ張り稲宮は空いている左手で顔面を殴った。
バキィ、と嫌な音を立ててサングラスは壊れ床に落ち、鷹廣は軽いからだを床へと投じた。

「……へぇ、やるじゃんアンタ」

殴られた場所から少し血が出ているがそんなことも気にせず
壊れたサングラスを見つめる。
そしてイライラしながら替えのサングラスを買わなきゃじゃないかとボヤく。

鷹廣ははぁーと盛大なため息をついて
何かの目線を察知したのかわかったからわかったからと手で空を仰いだ。

「余裕か、わざとらしい」
「余裕、ねぇ。そう見えるかな?君より力が強いわけじゃないから大変だけどねえ」

女より弱いとか少し僕ショック受けちゃったとらしくもなくおちゃらけてみれば
稲宮は不快そうな顔をして警棒に手を添える。

「でも」
「でもそろそろ時間みたいだし君とのお遊びはここまでにしとくかな」
「なにを」

ふ、と鷹廣は目を細めて先ほどと比べると少し速く走ると
目でその姿を確認した稲宮は警棒を引き抜いて応戦をしようとする。

「なーんてな、ほなおやすみしとこか」

背後に人がいるなんて知らないよ。






「これ、研究所に連れてくの?」
「連れてきてーちゅーわれたんよ、ヤタくんに」

どうやら情報収集と称して街に出ていたファルケは
稲宮と戦っている最中の鷹廣を見つけていたそうだ。
そしてその時丁度良くお友達の荒神ヤタから連絡がきたそうで。

「はぁー、わしドキドキしたわー、殴られるかと思うたわー」
「いっそ殴られろバカファルケ」
「バカ言わんといてーな!」

鷹廣が丁度溜め息をついたあたりで近くに待機していたそうだ。
結局、ファルケが声をかけることで意識をそちらに持っていきその間に
鷹廣の蹴りで頭を狙って気絶までもっていったとか。

「大丈夫、死んどらん?」
「僕がそんなヘマすると思ったのバカファルケ」
「バカはよけーや、ほな、じゃあこの稲宮ちゃんとやらを連れていこかー」
「アンタ調子よくていいね……」

鷹廣は自分よりも大きいからだの稲宮を持ち上げて僕もこれくらい身長欲しかったと
素直な感想を持ちながら研究所へと向かうのだった。


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稲宮さん(烏丸さん宅)
名前だけですがヤタさん(幻さん宅)
お借りしました


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