いつも通り三課の自分の机について
いつも通り実験をはじめれば、いつも通り爆発をさせて
いつも通りセンパイに怒られる。
予定だった。
『聞こえるか、神澤洸』
(なんスかー、マリアージュセンパイ)
いつも通り席に着いたところでさあ実験だと
(仕事をせずに)実験道具を出したところで頭の中で
誰かに語りかけた。
通信指令課のマリアージュ=ビーコンフィールド=デイモンだ。
そういえば直接脳内に語りかける人だっけか、と
思えばそうじゃ、と返事がきたのでおっとこれもわかるのかとひそかに笑う。
『そなたに用があっての』
(えー私に何の用ッスかー、暇人じゃないんスけどー)
『なに、稲宮と砂渡早雲のことじゃ』
(んー、あ。二人がどうかしましたー?)
イスをぐるぐると回転させて今日は何の実験にしよーかなーと
口に出してみればセンパイに実験するなら課長の机にしとけと進言された。
課長どんまい。
『なに、情報が漏れたようでな。稲宮は追われ、砂渡は二課の朝倉椋之介の家に囚われているようじゃ』
(囚われのお姫様ッスかー、うはー砂渡センパイどんまいッスー)
私はバレない程度にククク、と笑うと少し呆れたような溜め息が
聞こえてきた。解せぬ。
『なんならそなた助太刀とやらをせんか?』
(はー、まじッスかー、いやあ別にいいッスけど)
回転させていたイスを止めてあらよっと掛け声をかけてイスから降りて
ちょっと材料買ってきますー!とセンパイに声をかける。
忙しいんだから早く帰ってこいと言われたのでハイハイと適当に返事をし、
外へと向かう。
今日は何の実験をしようかと思いながら
私は外に出て出勤の時に使っているバイクを準備する。
(えーどっちに行こう。どっちでもいいんだけどなー)
『そなたの好きにすればよい』
その後ぷつんと何かが切れた感覚がする。
ふん、という声が聞こえてきそうだなあと思いながら武器と地図を携帯しているのを
確認してバイクにまたがる。
(とりあえず砂渡センパイんとこいくかなー、そのあとは余裕があれば稲宮ンとこいくかー)
―――そんな余裕あるとは思わないけれども。
私はバイクを発進させて朝倉センパイの家へと向かう。
正義云々は興味ないけれど、とりあえずがんばってみるか。
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神澤洸は砂渡さんを救出しにいくそうです。
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