『俺、近いうちにそっちに行くわ』
「は?」

12月のとある日。いつも通り研究やらなんやらしていると、ファルケから
久しぶり(多分半年くらい)に電話きた。
アードラーは自分の数少ない友人からの電話をかなりいやそうに聞けば第一声にコレだ。
思わずお前何言ってるんだという顔を(相手に伝わらないというのに)した。
無論目の前に人がいたとしても覆面のせいで表情は見えないのだが。

『いやあ今いるトコロがよ、だーいぶ面倒なことが起きちゃってね?
 大丈夫、お前にお世話になる気満々だから』
「ファルケ、アンタ賢いのに時々馬鹿だな」

てーへーぺーろーと頭に来る声に電話切ってやろうかと言えば
それは勘忍してー!と普段とはまた違う口調(これもかなり頭に来る)で返事がきた。

「で、いつごろ?」
『んーとりま大晦日過ぎてから。どーせ家広いんだから部屋空いてるっしょ?』
「一応ね。滞在期間はどれくらい?僕これでも居候だよ」
『最低でも三か月はいるつもり』
「そ」

じゃあよろしくなー、という声と共にプツりと消えた電話。
はあ、とため息をついたあとに今年の年末は家に帰ったほうがよさそうだと考えた。





さて、何故いまこんなことを思い出したかというと。

「うっわ、アイツテレビに映ってるじゃん」

いつもは研究で大晦日だろうと家に帰っていないのだが、
先のこともあって家に帰ってみた。
すると家の主である神崎羊丞にめずらしーと言われ双子には明日は槍でも
降るんじゃないのとか失礼なことを言われた。

家に帰ればやることがないためこたつでおとなしくテレビを見ようかと
電源を入れれば大阪で極道の全面戦争が中継で放送されていた。

とくに他の番組をみるわけでもなくぼーっと見ていれば見慣れた男と少女。
ファルケとロイファーだ。
ロイファーに戦わせてファルケはにこにこと笑っており
ああ、こいつら変わってねえなと思うのと同時にこれが面倒なことか、と
クスリと鷹廣は笑ったあとにふと顔を真っ青にして思う。

頼むからロイファー壊れちゃったから新しい子ちょーだい!と言ってこないでくれ、と。




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